PayPayは8月19日、これまで無料としてきた「MPM」方式と呼ばれる店舗に印字されたQRコードを掲示してユーザーがスマートフォンアプリで読み取って支払いを行う決済について(同社では「ユーザースキャン」と呼んでいる)、10月1日以降の手数料を1.60%または1.98%にすることを発表した。2021年9月30日までは加盟店の新規加入キャンペーン期間として手数料の無料化を打ち出していたが、10月1日以降は事前の予告通り決済時の手数料を店舗側が負担することになる。
QRコードやバーコードを用いて決済を行う、いわゆる「コード決済」の日本でのサービスは17年にコード決済としてローンチされたOrigami PayとLINE Payに源流を発する。
もともと中国では支付宝(Alipay)と微信支付(WeChat Pay)の2大サービスが15年ごろから急拡大しており、専用の装置を必要としない展開の容易なコード決済の仕組みを用いて日本でもサービスインを狙う新規参入企業が相次いでいた。
ただ、日本でのトレンドをけん引したのは18年秋にサービスを開始したソフトバンク系列のPayPayであり、「大型還元キャンペーンによるユーザーでの認知拡大」「定期的な自治体や企業との連携による利用促進キャンペーン」「決済手数料無料化による加盟店拡大」といった今日コード決済においてごく普通に見られる施策の数々を率先して提供した。実質的に競合他社はその施策に追随せざるを得なくなり、そして体力が尽きて倒れていった。
複数の関係者が「資金力などからみてコード決済の本命はヤフーの新サービス(当時はPayPayという名前がなかった)」と参入前からうわさしていた通り、圧倒的な資金力と全国をくまなくカバーする営業力によって市場を席巻し、コード決済のシェアで「6割以上」という寡占状態を生み出している。
今回、PayPayがアピールポイントの1つであった「決済手数料」を有料化したことで業界がどのように変化し、これによって赤字続きだった同社がいかに「黒字化」を考えているのか、ビジネスモデルの面から考えてみたい。
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