DX時代、文系職種がAI、ディープラーニングを学ぶべき理由2つの理由(1/3 ページ)

» 2021年09月09日 07時00分 公開

この記事について

DXに取り組む企業が増える中、AIやディープラーニングを学ぶ人も増えている。AIベンチャーや有識者などから構成される「日本ディープラーニング協会」の「G検定」(ジェネラリスト検定)の受験者は、2017年から約3年半で累計5万人を突破。最も多い受験者は研究・開発職だが、営業・販売職や企画・マーケティング、経営企画など、いわゆる文系職種の受験者も多くみられるという。

いま、文系職種の人たちがAIやディープラーニングを学ぶ背景には何があるのか。学ぶことで、どのようなメリットがあるのか。日本ディープラーニング協会の野口竜司氏(人材育成委員メンバー)による寄稿。

なぜ、文系職種でもAIを学ぶ必要があるのか

 AIと聞くと、皆さんはどのようなことを想像されるでしょうか。人工知能という未知のモノへの恐怖から、何となく不安、職を奪われるなど、ネガティブイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。

 一方、暮らしを豊かにするというポジティブなイメージを持つ人もいらっしゃるでしょう。例えば、サービスの使い方について問い合わせると、自動でメッセージが返信される。スマートフォンに「○○を検索して」と呼び掛けると、探したいものを表示してくれる。このように、AIは既に私たちの生活に当たり前のように入り込んできています。

 AI技術はこの半年間で急速に進化しました。大規模言語モデルといって、簡単な現代文のような問題ならば解けるようになりました。これから、さらに生活に密着していくことが容易に想像されます。私たちはAIから逃れることはできないのです。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 こうした中、AIの世界では、課題が変化してきています。4〜5年前までは、理数系や技術系の「AIを作る」人材の不足が叫ばれてきました。しかし「AIを作る」側の経験者は増え、教育環境が整ってきたこともあり、AIの構築環境が発展。以前よりも作ることそのもののハードルは下がっています。

 今は、AIを新たに作る必要があるのかを見極めたり、業務プロセスやサービスへの組み込み方を検討したりといった、「AIをどのように使いこなすか」が求められるようになっているのです。

 では、AIを使いこなすのは、特定の職種だけよいのか。そうではありません。例えば、新規事業を担当する人であれば、以前はインターネットの台頭で、ネット活用によるイノベーションが求められました。今はAIやデータを活用した事業変革や社内改革が必要とされています。マーケティングでは、従来は一部のデータや経験則により意思決定していましたが、今は顧客の行動予測などAIの活用で予測の精度が高度化してきています。

 このようにあらゆる職種、しかも文系職種で、AIの活用が広がってきている。だからこそ、文系職種の人材も、AIの基礎を学ぶ必要があるのです。

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