以上が福地氏へのインタビュー内容だ。厚生労働省の調査によると、現在習慣的に喫煙している人の割合は16.7%。男女別では男性が27.1%で女性は7.6%。このうち男性の27.2%、女性25.2%が、加熱式たばこを使用している(令和元年国民健康・栄養調査報告)。世界的にみても日本の加熱式たばこ市場は大きく、各社がシェア獲得に向け力を入れているカテゴリーだ。
国内の加熱式たばこ市場で圧倒的シェアを誇るフィリップ モリス ジャパンは8月、新しい加熱式たばこ用デバイス「IQOS ILUMA(イルマ)」と、専用たばこ「TEREA(テリア)スティック」を発売。
同グループは、10年以内に日本国内の紙巻たばこの販売から撤退を目指す方針を掲げていて、フィリップ モリス インターナショナル最高経営責任者(CEO)のヤチェック・オルザック氏は、ITmedia ビジネスオンラインの取材に対し、「紙巻たばこはすでに『過去のもの』で、これからは煙のない社会にするビジョンの下に戦略を展開していく。マールボロ以上に成功するブランドを築いていきたい」と語った。
また、加熱式たばこ国内シェア2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンは、加熱式たばこの製品戦略として、「製品バラエティーの拡充」「継続的な製品開発」「より手に取りやすい価格設定」を掲げている。
特に、「glo hyper+(グロー・ハイパー・プラス)」は、希望小売価格を980円に設定するなど価格戦略を強化。11月には「ラッキー・ストライク」ブランドのglo専用たばこスティック2銘柄を12本入り290円で発売する予定だ。
グループ全体のglo専用スティックの売り上げのうち、約6割は日本市場が占めるという。同社は、2025年には国内の紙巻きたばこのシェアは49%まで減少し、非燃焼たばこが半数以上になると予測していて、gloや歯茎に挟んで使用するオーラルたばこ「VELO(ベロ)」といった「非燃焼性たばこ製品」の展開を強化する考えを示している。
同社の戦略発表会ではジェームズ 山中社長が、グループ全体として25年に非燃焼性たばこの売り上げを50億ポンド(約7700億円)に、30年までに非燃焼性たばこユーザーを5000万人にまで拡大するグローバル目標を明らかにした。
初代IQOSの発売から約7年。各社が加熱式たばこ強化に向けた戦略を打ち出す中、加熱式たばこ市場で大きく遅れを取っていたJTが進める改革はどう影響していくのだろうか。
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