コラム
» 2021年10月20日 07時00分 公開

取引先の請求書を電子化させる交渉テクニック自社だけでなく(2/4 ページ)

[企業実務]

【1】社外的な対応

 考慮すべき点として、社内における業務のほかに、社外的な対応にも目を向ける必要があります。自社が請求を受ける場合と、自社が請求をする場合の2つの区分で考えてみます。

(1)取引先から請求を受ける場合の改善テクニック

 自社が請求を受ける場合において、取引先に請求を電子化できるか打診してみることは比較的簡単といえます。

 これまで取引先に確認を取ったことがない場合は、「当社ではPDF形式の請求書による送付が可能です」というように、押しつけにならないように提案しつつ、「送付の手間や郵送コストも軽減されます」とメリットを伝えることも重要です。請求書等の受取方法については、受付可能な自社の電子メールアドレスを伝えましょう。

 慣習による業務サイクルが続いている場合は、当方から歩み寄り、改善が可能なことをアナウンスしておくことは重要です。特に継続的な取引がある場合は、改善の効果も大きいはずです。こうした改善案は、サービス業、若手、新興の小規模事業者が相手の場合には、柔軟に対応してもらえる可能性が高いと思われます。

 「セキュリティの問題から電子メールへの添付では送付できない」という取引先には、これに対応できるファイルの受け渡し方法の検討も必要でしょう。

 ただし、相手側のシステムの都合上、どうしても郵送に限定されてしまうこともあるはずです。

 優先順位としては、事業者間取引で、頻度の高い請求から交渉を進めていきましょう。まずは取引先をリスト化し、電子請求に移行できるかの可能性を探ってはいかがでしょうか。

(2)自社が請求する場合の改善テクニック

 自社が請求をする場合も、必要なのは取引先との交渉です。

 まずは主要な請求先のリストを作成し、電子化の意向を確認します。「当社では電子化対応の一環として、PDF形式の請求書による電子送付と、将来的には共通仕様の電子インボイスへの移行を見据えて検討しています」とアナウンスすることも一案です。電子インボイスについては、後ほど詳細をお伝えします。

 請求を受ける側の都合もありますので、一方的な変更は当然ながら難しいです。どのような請求方法であれば可能なのか、相手の都合も把握しておく必要があります。事業規模、営業担当・経理担当・承認者との関係もよく考える必要があります。

 また、業種によっては請求の電子化が難しいこともあるでしょう。例えば、発注側の要望により、指定のフォーマットに記入しなければならない場合です。この場合は取引先の請求の仕組みで制限されてしまい、自社の努力による改善は難しいはずです。また、対消費者取引も電子化が難しい例として挙げられます。

 請求書等の郵送が必要である場合には、請求書の郵送代行サービスを利用する方法も考えられます。例えば、日本郵便が提供する「Webゆうびん」のように、PDFデータなどをインターネットにアップロードすると、自動的に電子データを印刷して郵送を代行してくれるサービスがあります。クラウド型の請求書ソフトでも、こうした郵送代行と連携しているサービスがありますので、請求書ソフトの選定の参考にするとよいでしょう。

 なお、こうしたサービスを提案すると、インターネットのサービスになじみのない人からは「請求内容が外部にもれないか」と不安の声がたびたび寄せられます。

 そもそも、郵送でも電子メールでも、通信の秘密を完全に保証することは困難です。請求書を手渡しや郵送する場合でも、紛失や汚損、盗難や改ざんの可能性があります。つまり、リスクをどの程度許容するかという点で理解を得ることが必要です。

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