職場でAIを活用している日本企業は31%で、同じ調査を行った米国や中国、韓国など13カ国では3年連続の最下位──このような結果が、日本オラクルの調査「AI@Work」で判明した。
また、職場でのAI活用の検討状況については、「議論していない」割合が日本では47%で、世界でも最多。半数近くの日本企業はAI活用の議論の段階にすらないという実態も明らかになった。慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授の岩本隆氏は、特に「総務や人事、経理、法務など間接部門のDXが遅れている」と指摘する。
このように、日本企業は現状、海外企業に比べAI活用に乗り出していないということが分かった一方で、「日本企業の従業員は、テクノロジーに対して比較的ポジティブで、信用しやすい」ことが特徴だと岩本氏は言う。
75%の日本人が自身の将来設計をするためにテクノロジーを活用したいと考えており、また68%の人がAIによるレコメンドに基づいて仕事に変化を起こしたいと回答していることからも、確かにその傾向が伺える。
また、AIは人間の担当者よりもキャリアアップを効率的に支援できると回答した人の割合は72%に上った。岩本氏によると、「年功序列でマネジャーになったが、ピープルマネジメントが得意でないというマネジャーがいて、部下が上司を信頼していない」という背景も考えられるという。
調査からは、コロナ禍を背景にキャリアチェンジへの意欲を持っているが、同時に大きな課題にも直面している人々の姿が浮かび上がる。61%の人が仕事での閉塞感が私生活にも悪い影響を与えたと回答しているほか、64%の人は変化を起こす準備ができていると答えた。
岩本氏は、日本企業が優秀な人材を維持するには、従業員エンゲージメントをこれまで以上に高めることに加え、個人のキャリアに対するサポートを強化することが重要だという。また、日本企業は海外企業に比べてキャリア開発においても遅れを取っており、テクノロジーの導入・活用を強化する必要があると総括した。
調査は2021年7月27日〜8月17日、13カ国(米国、英国、アラブ首長国連邦、フランス、オランダ、ドイツ、ブラジル、インド、日本、中国、韓国、シンガポール、オーストラリア)の従業員やマネジャー、人事部門リーダー、経営層を対象に実施し、1万4639人から有効回答を得た。日本からの回答者は約1000人だった。
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