印刷、押印、製本、郵送、書留、FAX、出頭、PPAP、印紙、注文請書……。日本から無数の“雑務”がなくならないのはなぜなのか。いつになったら、私たちはスマートに働けるのだろうか? 本連載では350以上の企業や自治体、官公庁などでの組織や業務の改革支援を行ってきた沢渡あまね氏が、働き方の“悪しき常識”に疑問を呈し、改革への道筋を探っていく。
これまでの記事では日本の組織の雑務の多さと、その震源地ともいえる霞が関のマインドや仕事のやり方を指摘した。
根深い問題であり、すぐに変わるものでもないが声を上げないことには世論形成もされないし正しく問題化しない。次の世代に、過去の勝ちパターンの「ツケ」を残し続けることにしかならない。
それぞれの立場で“半径5メートル”以内から声を上げていく、行動していく。そんな変化を期待して、今回も筆を執る次第である。
今回も雑務を科学していきたい。ひとことで雑務と言ってもさまざまである。本当に必要な雑務もあれば、そうでない雑務もあるであろう。正しく見極め、なくすものはなくしていく必要がある。
とりわけ日本の組織は、ビジネスマナーや礼儀という名の雑務が多い。
「日本企業は礼儀正しく時間を奪う」──日本マイクロソフトの元業務執行役員であり、書籍『あたり前を疑え。』『「やめる」という選択』の著者でもある澤円(さわまどか)氏は日本の企業カルチャーをこう説明する。
そして、筆者も澤氏の意見に深く共感する。礼儀正しく時間を奪うとは、具体的にはどういうことか? 実際のビジネスシーンに照らし合わせながら考えてみよう。
「仕事のメールで、必要最低限の情報しか書かずに送ったら、部長から『学生気分が抜けていない』と指摘を受けた」
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