一般的に企業が新規事業に参入する際は、売り上げが立つ前に先行投資をしなければならないため、大きな赤字が出る。しかし、バルミューダの業績を追ってみると、バルミューダが21年12月期の第3四半期に携帯端末事業のために支出した試験研究費はわずか5.6億円。営業利益は4.3億円と黒字を維持していることから、自社の生み出した利益の範囲で新規事業に参入できている様子がうかがえる。
スマホをイチから作るとなると、通常であれば数百億円規模の投資が必要となる。ではなぜ、バルミューダはこれほどの低コストでスマホ端末市場に参入できたのだろうか。
その鍵は京セラによる「ODM」だ。ODMはあまり聞き慣れた言葉ではないが、これは「OEM」と似た概念だ。OEMの場合、製造会社(京セラ)の製品を相手のブランド名(バルミューダ)で販売することを意味するが、その反面製品が画一的になるデメリットがある。しかし、ODMの場合はデザインなどの設計はあくまでバルミューダ側が担当する。そして京セラ側は生産・製造を担当することになるため、OEMと違ってバルミューダ独自の“色”を出しやすかったというわけだ。
ODMの場合は、自社製造やOEM製品と比較して一台あたりの製造コストが高くなる傾向がある。バルミューダフォンがスペック対比で高くつくのも、京セラのODMによっていわゆるマージンがのった状態だからだ。OPPOなどとの価格差が丸々「バルミューダのデザイン代」というわけではないことに留意したい。
ODMを活用することで、バルミューダ側は家電事業で培った自社の強みである端末関連のデザイン設計に特化することができ、スマホ製造のテクノロジー部分に初期投資をかける必要がない。
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