「公共トイレ」と言われてどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。公共トイレは、「暗い・くさい・汚い・怖い・壊れている」の5Kと呼ばれることも少なくない。
渋谷区には、実は50カ所の公共和式トイレがあったのをご存じだろうか。そのうちの11カ所が渋谷区から消えた。そして、ユニークでみんなが使いやすいトイレに生まれ変わった。この取り組みは、日本財団が渋谷区の協力を得て2018年にスタートさせた「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトの一環である。
「誰もが快適に使用できる公共トイレを」というコンセプトを元に、渋谷区内17カ所に公共トイレを設置するというプロジェクト。隈研吾氏や坂茂氏、佐藤可士和氏など世界的に著名な建築家やデザイナー16人がデザインを担当している。20年8月に設置された「恵比寿公園トイレ」「代々木深町小公園トイレ」「はるのおがわコミュニティパークトイレ」を皮切りに21年11月時点で合計12カ所の公共トイレが生まれ変わった。
坂氏が担当した「代々木深町小公園トイレ」「はるのおがわコミュニティパークトイレ」は透明トイレとして一時期話題になった場所だ。スケスケで外から丸見えのようだが、鍵を占めると不透明になるガラスで作られており、トイレに入る前に中がきれいかどうか、誰もいないか確認できる。「中に誰かいるかもしれない」という不安な気持ちを払拭するトイレになっている。
プロジェクトについて、日本財団の担当者はこう話している。
「公共トイレは”公共”というワードが入っているものの、障害者や高齢者、子連れ、異性介護者などさまざまな方が使いやすい場所になっていませんでした。われわれは、ダイバーシティーを社会に発信していく目的で、17年に渋谷区と協定を結びました。渋谷区は観光客が多い街です。公共トイレを整備することで、観光都市としての価値を高められるという渋谷区長の考えもあり、今回の取り組みがスタートしました」
その話の通り、今回設置される全17のトイレに最低1つはユニバーサルトイレを設けているという。そのほか、利用者たちに「きれいなトイレを維持しよう」という気持ちを持ってもらうために、通常よりも清掃回数を増やしている。今までは1日1〜2回だったが、プロジェクトのトイレは1日3回を徹底しているのだ。
2023年3月までは、旧来の維持管理費からの増加分を日本財団が支援する。今後は、各トイレの使用状況などを考慮しながら清掃頻度を調整していくという。
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