小規模でラグジュアリー感が魅力のあるホテルで、興味深い話を聞いた。「Go Toトラベルキャンペーンがはじまったらお客さんたくさん来そうですね!」という当方の問いかけに対して「いまでもかなり稼働していて、本日も90パーセントを超えています」と支配人はいう。もちろんコロナ禍・緊急事態宣言でダメージはあったというが「一定期間を除けば稼働はずっと好調でした」と話してくれた。
海外旅行に行けないこともあってか、高級なホテルほど比較的稼働が堅調だったというのは業界では知られた話。とはいえ往時に比べれば多少は利用しやすい料金設定が見られたのも事実だ。
こちらのホテルでも「Go Toトラベルキャンペーンが始まれば値上げするのですか?」と少々意地悪な質問をしてみた。
Go Toトラベルキャンペーンは“お得感”をイメージする人が多いかもしれないが、ホテルの宿泊料金に限っていえばキャンペーン前から値上げされるケースは散見される。事業者のためのキャンペーンという側面があり、消費者の利益を何ら保証するものではない。
このホテルも同じなのかという意図の質問であったが、意外な答えが返ってきた。「いえ、コロナ禍になった当初からずっと料金を上げ続けてきたのでそのままです」というのだ。
筆者は仕事柄、特定のホテル料金を日々チェックし続けているが、記録を見てみると確かにそのホテルの料金はコロナ禍前と比較して料金が上がることはあっても下げた形跡はない。結果としてコロナ禍前と比べ、確かに2割ほど上がっていた。以前の料金を知っていた筆者としては「高くなったなぁ」という印象である。
その理由を支配人に聞いてみると「当施設は高価格帯・小規模ということもありリピーターのゲストに支えられており、年齢層は中高年以上、富裕層といわれる老齢のお客さまも多い」という。
料金を下げれば予約数が増えるのは一般論としてあるが、料金を下げようが上げようが来てくれるゲストがいれば、下げる必要はないわけだ。とはいえ上げ続けた理由についてはどうなのだろうか。
「さらなるサービスのブラッシュアップを図り、経験豊富な人材の新規採用も進めていました」「ゆえに料金アップにもゲストの納得性は高まっている自信があります」と支配人は話してくれた。良い人材の流出が続いたのもコロナ禍ということを先述したが、確かにここにきて話がかみ合う。
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