1本1万円以上の傘が、なぜ3年目に10倍も売れたのか週末に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2021年12月04日 08時08分 公開
[土肥義則ITmedia]

 国内のアパレル市場が大苦戦している。矢野経済研究所のデータを見ると、2020年の市場規模は7兆5158億円で、前期比81.9%と大幅に減少しているのだ。新型コロナの感染拡大によって、百貨店のシャッターはガラガラ閉店となってしまい、サラリーマンはテレワークによってスーツを脱いでしまい、外出自粛ムードでオシャレをすることに関心が薄れてしまい。

 ちなみに、アパレル市場のピークはバブル期に迎えていて、そのときの市場規模は約15兆円。ということで、ピーク時に比べ、いまはほぼ半分になってしまったのである。

国内のアパレル市場が苦戦している(出典:矢野経済研究所)

 長い年月をかけて市場が縮小した背景には、人口が減ったり、価格が安くても質のいいモノが出回るようになったり、数十万円もするミンクのコートを買う人がほぼ消滅したり。こうした動きがあったわけだが、そんな中でもユニクロ、ワークマン、ザ・ノース・フェイスといったブランドは好調のようだが、筆者が気になっているブランドがある。「D-VEC(ディーベック)」だ。

アパレル市場の縮小が続く(画像はイメージです。出典:ゲッティイメージズ)

 「はあ? ディーベック? そんなブランド聞いたことないなあ。流行のブランドを知っている自慢かよ」と思われたかもしれないが、そーいうつもりは1ミリもない。グローブライド(東京都東久留米市)という会社が17年に立ち上げたブランドで、1本1万円以上もする傘が倍々ゲームのように売れているのだ。

 グローブライドという会社のことも知らないし、高価な傘が売れていることも知らない。といった人もいると思うので、まず会社の紹介をしよう。

釣り具メーカーがアパレル事業に参入(画像はイメージです。出典:ゲッティイメージズ)

 同社は世界トップクラスの釣り具メーカーで、社名よりも「DAIWA(ダイワ)」のほうがピンとくる人が多いのかもしれない。09年に「ダイワ精工」から社名変更をしていて、昨今のアウトドアブームや釣りファンが増えたことなどもあって、会社の業績は好調である。21年3月期の売上高は初めて1000億円を突破して、純利益は前期比の4.3倍に。直近(11月5日)の業績予想でも、上方修正の数字を発表している。釣られる魚側からすると、“受難の時代”がしばらく続きそうである。

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