自治体側が対応していても、利用できないケースもある。同庁はVRS上で最大で約440万件のデータに記入ミスの可能性があると発表(12月17日時点)。同庁が1億件のデータを調査したところ、「要修正」(修正が必須)で全体の0.1%、「要確認」(記入ミスの可能性あり)で同4.3%、それぞれミスが見つかったという。同庁は「要確認のうち、本当に修正が必要なものは4.3%のうちの4分の1程度。実際に修正が必要なものは全体の1%程度ではないか」と推測している。
接種歴に記入ミスがある場合は、アプリ上でステータスとして表示されるため、利用者側で確認が可能。要確認の場合はアプリで手続きが可能な一方、要修正の場合は手続きができず、自治体に確認を求める案内文が画面上に表示される。
この場合、自治体側の修正を待つか、自身で自治体の窓口に問い合わせる必要がある。デジタル庁は「間違った情報で3回目の接種に進まないようにするための措置。利用者が問い合わせることで、自治体側がどのデータを修正するべきか可視化できる」と理解を求めた。
記入ミスの多くは、接種日の間隔が異常に短いもの、ワクチン製造元の企業名の記入ミス(米ファイザー製を英アストラゼネカ製と記入)など、人為的なミスが中心だという。
「確認が必要なものは絞り込めている。VRSへの入力を担当する自治体と協力して修正し、3回目の接種に備えたい」(デジタル庁)。
政府の接触確認アプリ「COCOA」では、開発からリリースまでの期間が短く、アプリの実機テストが不十分であったことから、リリース後に陽性者との接触がユーザーに通知されない不具合が発生するなどの混乱を招いた。デジタル庁は「COCOAのミスを教訓に、実機テストは十分な時間をかけた」と自信を見せる。
アプリの開発と運用は、母子手帳アプリなどを手掛けるITベンチャーのミラボ(東京都千代田区)が担当。同社は2月、VRSの開発を3億8500万円で受注しており、アプリ開発はVRSの機能強化として受注。受注額は約1億1000万円。
COCOAの場合、SNSで不具合を指摘する声があったにも関わらず、放置していたことも判明した。このため、ソフトウェア開発プラットフォーム「GitHub」で不具合の指摘を募集していたが、接種証明アプリではそうした体制を敷かず、ミラボが一括してサポートを担当する方針。
COCOAの“悪夢”によって課題が浮き彫りになった、政府のアプリ開発。今回のアプリでは汚名返上となるか注目だ。
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