国産の昆虫食をメインに取り扱う自販機を運営するセミたま(東京都渋谷区)の伊藤洋平氏は自販機が増えている理由を「よく売れるから」と分析する。
「昆虫食の原価率は5〜6割と相当高いです。食糧危機問題やサステナブルの文脈でメディアの注目も集めやすいタイミングのため、参入が増えているのだと思います。当社は、世界的な食糧危機問題への対処と、日本の昆虫食市場の活性化を目的に自販機を運営しているため、国産にこだわっています。ただ、もうけることを意識するならば、サソリやタランチュラなどを輸入して、高値で売るのがいいと思います。実際に売れますしね」(伊藤氏)
市場は、無印良品やダイソーがコオロギせんべいを販売するなど大手が参入しているため、徐々に盛り上がりを見せているという。
ビジネス・社会的な理由から、昆虫食が注目を浴びていることは分かった。人々の好奇心から購入数がじわじわと増えているようだが、気になるのは「味」ではないだろうか。
昆虫食といわれてイメージするのは乾燥コオロギや蛾の幼虫のバンブーワーム、はちのこなど。実物を見てみたが、昆虫感が強すぎるせいか、あまりおいしそうに見えないというのが感想だ。味としては、香ばしさやサクサクとした食感から「塩っ気のあるスナック菓子」という印象を受けた。
「見た目のインパクトを超える味ではない」というのが正直な感想だろうか。おいしいからまた食べたいという食事に通常感じるモチベーションがあまり湧かなかった。
伊藤氏によると、カミキリムシの幼虫は「マグロのトロ」に似た味だという。しかし、カミキリムシの幼虫は木の中で生活するため養殖が難しく、市場に出回ることはほぼないそうだ。
「味は昆虫食が普及するかしないかを決める重要な要素です。昆虫食は刺身やステーキのように食材のおいしいところを切り出して料理できないので、基本的には丸ごと食べるしかありません。いくら昆虫食が環境にいいと言っても、食事の際に環境への影響を重視する消費者はまだ少ないと思います。昆虫食を選んでもらうために、おいしく改良していく必要があります」(伊藤氏)
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