「204円」弁当に「1080円」おにぎり! ハイレベルすぎるスーパー弁当の知られざる“進化”長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)

» 2021年12月23日 09時30分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

2.5キロの爆弾おにぎり

 さて、激安路線の方に目を転じてみよう。

 埼玉県内に4店を構えるマルサン(埼玉県越谷市)が展開する「スーパーマルサン」は、「まる弁」という270円の激安弁当が売りのディスカウントスーパーだ。店舗ごとに品ぞろえは異なるが、越谷花田店(埼玉県越谷市)の八木栄樹店長によれば、まる弁の種類は同店でも30種類くらいあるとのこと。総菜・弁当売場にずらりと並んだ光景は圧巻だ。

スーパーマルサン越谷花田店。まる弁が売り

 越谷花田店では、まる弁は1日に300〜500個が売れる。全て店内の手づくりなので、担当者は午前6時に出勤して準備を進める。

 常時、十数種類の弁当が270円で販売されているが、売れ筋は「サバ弁当」「鮭弁当」「唐揚弁当」「和風ハンバーグ弁当」あたりだ。天丼やカツ丼も270円。サバ弁当の場合、大きな切身のサバの塩焼だけでなく副菜、漬物が入り、ご飯もしっかりと分量がある。

まる弁のサバ弁当

 「正直、まる弁では利益は出ていないが、まる弁を目的に来てもらって、他の商品を見てもらいたい。お店全体で売り上げを出す考え方」と八木店長。薄利多売で、地域の顧客に喜んでもらって、末永く愛される店にするための集客装置としてまる弁を位置付けている。

まる弁の人気商品の1つ、鮭弁当

 その成果があって、特に休日にはオープン前に長蛇の列ができる人気スーパーとなった。

 同店の新しい名物が、超特大サイズの「爆弾おにぎり」(1080円)。2.5キロもの重量があり、まるで鏡餅のようだ。通常のおにぎりの10個分以上の大きさがある。しかも中には、ロースカツ、唐揚げ、ひじき煮など8種類以上の具材が入っている。食べる時はホールのケーキのように包丁で切り分ける。

 もともとは、メガ盛りを売りにした桶川店(埼玉県桶川市)の名物。今年7月にこのおにぎりがテレビ放映され、越谷花田店にもないのかと顧客からの問い合わせが相次ぎ、8月から提供し始めた。

爆弾おにぎりの断面

 ボウルにラップを敷き、その上にご飯を盛り、具材を入れて、ご飯を被せ、上にのりを張る。さらに裏返してのりを張り、丸く成型する製法に到達。担当の吉田禎寿氏は、今では5分くらいで1個を作れるまでにスピードアップした。

スーパーマルサン、弁当・総菜売場

 週末を中心に販売し(予約可)、売れるのは最高でも1日に10個くらいだが、子どもたちにとても喜ばれている。また、遠方からわざわざ爆弾おにぎりを買いに来る人が後を絶たず、客層が広がった。

まる弁の唐揚弁当

 「爆弾おにぎりを見に来てもらえるだけでも、並べて置く価値がある」と八木店長は、新たな名物の誕生に満足げだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.