税務当局はウェイヤ―氏に前科がなく、当局に従う姿勢を見せていることから、「刑事罰の追及はしない」としている。ただし、同氏のSNSのアカウントも次々と凍結され、今後の活動は大きく制約されそうだ。
先月脱税で摘発された雪梨氏も、12月に入って他のSNSのアカウントが一斉に凍結され、別名でアカウントを作りなおしたが、そちらもほどなく削除された。雪梨氏のマネジメント事務所は最近解散したという。
「有名人のインターネット情報の規範強化に関する通知」では、「不祥事を起こした有名人が、アカウントを別に立ち上げるなどしてネット上で“復活”することを厳禁」「マネジメント事務所は連帯責任を負う」ことも記載されている。
ウェイヤ―氏と夫は30社以上の会社を運営しており、事務所には多数のインフルエンサーが所属。従業員数も全国で500〜600人いると言われており、12月20日は従業員も自宅待機となった。
ウェイヤ―氏の会社はアリババ本社のすぐ近くにあり、両者は二人三脚でWin-Winの関係を築いてきたが、タオバオライブの上位3人のライバーのうちウェイヤ―氏、雪梨氏の2人が脱税で摘発されたことで、残り1人のオースティン氏にも疑いが向けられている。
ライブコマースはアリババだけでなく、ショート動画を運営する抖音(TikTokの中国版)、快手(Kuaishou)など、ECを手掛けるプラットフォームがいずれも力を入れている分野であり、中国市場向けにインフルエンサーやライバーを起用する日本企業も少なくない。ウェイヤ―氏の脱税は氷山の一角だろうが、かなり広い範囲に影響が及びそうだ。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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