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メタバースって何? 素朴な疑問をクラスターCEOに聞いたメタバース研究所も設立(3/4 ページ)

» 2021年12月29日 08時00分 公開
[樋口隆充ITmedia]

メタバース研究所を設立した狙いは?

 クラスターは15年7月に設立されたスタートアップ企業。当初からイベントに特化したバーチャルプラットフォームを手掛け、20年にはKDDIや渋谷区とともに、cluster内に渋谷の街並みを再現し、ハロウィンイベント「バーチャル渋谷」などを開催したことで知名度を上げた。

 そんな同社は11月、稲見研究室(東京大学)と神谷研究室(京都大学)とともに産学連携で「メタバース研究所」を設立した。この先、メタバースがさらに発展することで、現実世界とバーチャル空間の境界がなくなる可能性がある。そうした世界の到来に備え、研究を通じて世間に提示する狙いがある。

photo メタバース研究所

 加藤CEOはメタバースの現在の状況を「第一段階」、その先を「第二段階」と表現する。第二段階とは「夢の中の世界に近い」という。加藤CEOは「夢の中の世界や脳内世界では、思ったことを自由自在に実現でき、クリエイターが集まるメタバースに近い。今後、現実世界との境界がなくなるにつれ、障壁になるのが、重力など現実世界の物理法則だ」と話す。

 そこで同社は、脳内の思考を記録し、映像として取り出す研究などを手掛ける2研究室に注目。研究所の設立につなげた。

 「将来的に脳とメタバースを直接つなげることで、人類史上初めて、筋肉を介さずにクリエイティブ活動ができるようになる。考えたことをメタバース上にそのまま展開できれば、クリエイティブ活動の形が変わり、コミュニケーションの幅も広がる。人類の可能性が広がるのではないか」(加藤CEO)

 加藤CEOは近い将来、現実世界と同様に、メタバース上にも一次産業、二次産業、三次産業のような産業区分が生まれると予測。「現代では、単に稼げるくらいでは人材は集まってこない。有望な人材を集めるには、どれだけ未来を作れるかが重要だ」とし「メタバースでの未来の生活スタイルを研究によって提示することでクラスターの利益にもつながると考えた」と研究所設立の狙いを明かした。

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