2022年、最も注目すべきは“ビッグボス”新庄! 日ハムにもたらされるすさまじい「経済効果」とは野球は“オワコン”じゃない(4/5 ページ)

» 2022年01月01日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

日ハムの地域密着戦略はこれからが本番

 日ハムの球団運営会社の正式名称は「株式会社北海道日本ハムファイターズ」です。同社は、北海道移転にあたり「ファンサービス1st(ファースト)」を掲げ、地元に愛される地域密着型の球団を目指しました。なぜなら、移転当時の北海道には巨人ファンは大勢いましたが、日ハムファンはあまりいなかったからです。その点で、「地域に溶け込むためにはどうしたらいいか」を必死で考えてきた球団といえます。

 しかし、移転当初は高い数値目標を与えられ、社員には「(日ハムは)本社の広告塔になればいい」という考え方が強かったようです。それまで一度も目標を達成した経験がないという状況から、球団改革をスタートしたのです。

 目標観客数を設定し、達成するためにはどのような一手を打つべきか。そうしたことを社員に考えさせるという経営的な側面を強化しました。経営数字を達成するためには、地域密着型経営を徹底するしかなかったのです。その結果、サービス産業生産性協議会の「ハイ・サービス日本300選」第2回受賞企業に選ばれるほどになりました。同賞はイノベーションや生産性向上に役立つ先進的な取り組みを行っている企業・団体を表彰するもので、同社は地域貢献のテーマで選ばれています。

 以下、授賞理由を抜粋します。

(1):外からやってきた球団でなく、「地域に必要とされる球団でありたい」との願いから地域特性を生かした地域貢献へも積極的に取り組んでいる。

(2):球団はサービス業であり、集客ビジネスだという考えのもと、観客動員増につながる施策、ファンを増やす施策を次々に実施した。

(3):愛される球団を目指して、従来型の球団イベント「ファン感謝デー」などとは違った形で、顧客サービスに取り組んだ。

(4):来場のリピート率を高めるために、ロイヤリティーの高い顧客との関係づくりにも腐心している。

 同社が行ってきた地域密着サービスには、「女性ファンを増やすための『ウーマンズフェスタ』」や「北海道各地の名物をフードイベントで販売」などが挙げられます。

地域密着サービスの一例

 もともと、このような地域密着型のサービスを継続し、確実に北海道ファンを興奮させてきました。そして、“おらが町の球団”という意識醸成を図ってきたからこそ、日ハムのキーパーソンだった新庄さんをあらためて招聘したのです。選手時代の派手なパフォーマンスには、北海道民だけでなく全国の野球ファンが度肝を抜かれました。それが監督となった新たな姿を22年からは見られるのです。期待も高まるというものです。

 また、日ハムは全球団でNo.1のSNS活用球団ともいわれています。選手もファンもInstagramなどを通じて日ハムを盛り上げる投稿を繰り返し、SNSによってファンになっていった人も多いとされています。ビッグボス就任のニュースが流れて以来、新規会員数が例年の8倍に増加しているそうです(球団関係者談)。新庄さん自身もTwitterでさまざまなことをつぶやき、それがまた拡散しています。早くもビッグボス効果が出ているといえそうです。

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