2022年、最も注目すべきは“ビッグボス”新庄! 日ハムにもたらされるすさまじい「経済効果」とは野球は“オワコン”じゃない(5/5 ページ)

» 2022年01月01日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]
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新球場のボールパーク構想

 23年に北海道北広島市に開業する新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」は、メジャーリーグのスタジアムを参考にして作られる本格的なスタジアムになります。大林組と共に選ばれた米大手建築設計事務所のHKSは、メジャーリーグ・ミルウォーキー・ブリュワーズの本拠地「ミラーパーク」や、テキサス・レンジャーズが20年に完成オープンさせた新球場「グローブライフフィールド」などを手掛けています。今回、総事業費600億円という巨額投資をして新球場建設を進めています。このような巨額投資ができるのは、プロ野球球団一の財務体質があるからです。

HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE | 北海道ボールパーク(出所:hkdballpark.com)

 同社の第18期決算公告(21年3月期)によれば、総資産98億円、利益剰余金89億円です。球界一の自己資本比率を誇ります。前期はさすがに赤字となったようですが、第15期は21.2億円、第16期は7.4億円、第17期は4.7億円の当期純利益をあげています。この健全経営をバックに、念願の新球場建設にチャレンジするのです。

 新球場を中心に作られる「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE(北海道ボールパークFビレッジ)」の設立は、同社が理想とする球団づくりへの布石です。真の地域密着経営を新球場拠点に作り上げようとしているのです。

 もともとの本拠地、札幌ドームは札幌市(厳密には札幌市の第三セクターである札幌ドーム)から年間9億円の賃料(金額は想定)で借りています。毎年固定でかかってくる賃料、賃料の値上げ要請、その他にかかる費用負担はかなり大きいものです。実は横浜DeNAやロッテ、楽天などもこうした状況を脱しようと、球場の運営権を握り、球団と球場の一体経営に動き、効果を出しています。日ハムも新球場建設によって自由に自社の判断で理想とするサービスを提供できるようになるのです。

 ビッグボスと新球場。この2つがセットになって、日ハムの新戦略がスタートするのです。

 同社が狙うのは世界一、宇宙一の球団づくり。そのためには誰にも予想がつかない発想でマネジメントする新庄さんが必要不可欠な存在だったわけです。

 新庄さんはすでに、ファンがスタメンを決める試合や選手が監督になってスタメンを決めるオープン戦なども検討していると自身のTwitterに書き込んでいます。

 野球界を超えたトレンドリーダーとして22年は新庄さんとプロ野球界に注目したいと思います。 

どんな盛り上がりを見せるか(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

 1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

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