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» 2022年01月12日 07時00分 公開

海外では当たり前! 総務がサラッと身に付けたい“おもてなし精神”総務のための「オフィス」再考(1/2 ページ)

“おもてなし大国”である日本。顧客への「おもてなし」は海外と比べても秀でているが、社員への「おもてなし」では物足りない点も。社員の生産性向上につながるように、総務が心得るべき“おもてなし精神”とは?

[金英範,ITmedia]

 “おもてなし大国”である日本。街中の至るところで「おもてなし」があり、質の高さは海外と比べても秀でているのは言うまでもありません。一般に、そのようなおもてなしは「パブリックな場所に対して」であり、サービスを提供する企業からすると「外」(顧客が接するところ)の話です。その反面「内」(つまり社員)へのホスピタリティ、おもてなしという観点ではどうでしょうか。物足りないと感じるのは筆者だけでしょうか。

 CS(Customer Satisfaction)とES(Employee Satisfaction)という言葉がありますが、一般にES→CSという順番で考えるのが自然であり、多くのビジネス書にもそのように書かれてはいます。顧客を満足させるには、まずは社員の満足度が重要ということは言うまでもありません。

 ところが、社員に我慢を強いて顧客満足度を上げるという“荒業”を、今でも追求する企業も少なくありません。昭和の企業やスタートアップなど、急成長の途中(給与が上がり続ける時代)ならまだしも、成長も一段落し安定している企業(むしろ後退するリスクがある時代)、そして多様性を尊重する時代には、社員に我慢を強いて顧客満足度を上げることは、なかなか実現できないでしょう。

 筆者が総務を長年経験してきた過程でも、ESをより尊重する企業文化を持つ会社が増えてきたことを感じていました。昨今、そうした動きは指数関数的に加速しています。社員の我慢からは何も生まれないのです。

 こうした変化は、総務が社員を統制する部門(管理部門)として存在しているのか、社内サービス部門(社員にサービスを提供し、幸せにする部門)として存在しているのかによって見方は変わります。グローバル企業ではコーポレートサービス部門という後者の役割のケースが多いのは前回の記事でも触れました。そうした企業では、総務には「社員に対するおもてなしの姿勢」が求められます。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 とあるグローバル企業の総務のジョブディスクリプションの中に「OHANAの精神をもって社員と接することができる人材募集」という表現があり、「そこでOHANAという言葉を出すのか!?」と驚いたことがあります。OHANAの精神とは、ハワイ語で「家族同様のおもてなし」を意味します。今やGAFA(GAMA)などではその感覚は特別でも何でもなく、企業を継続的に強くする上で当たり前のものになりました。

サラッとコストをかけずに実行

 グローバル企業では「総務は社内サービス部門」という紹介をしましたが、「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは何でしょうか。筆者の考えでは、マニュアル的に決まったことを行うものがサービス、相手の状況によって自分で対応を考え実行することがホスピタリティと区別しています。「こちらの都合」なのか「相手の都合」なのかが違いです。

 ホスピタリティの語源は「ホスペス」(ギリシャ語)。日本語で言うと「おもてなし」が一般的な訳です。日本人の文化にはおもてなし、お世話、奉仕などの精神があるので、このホスピタリティの意味は感覚的に理解できます。英語でいう「サービス」との区別も肝心です。欧米でサービスというと、必ず費用、対価が求められます。

 では、マニュアル的で対価を期待する「サービス」ではなく、自然な「ホスピタリティ」を発揮できる環境とはどんな状況なのでしょうか。それは“This is my place”(ここは私のホーム)と感じられる環境・場所に自分がいるかどうかが決め手だと、筆者は最近思っています。「ここは私の居場所」という自信を持っている感覚そのものがホスピタリティを生むのではないでしょうか。例えば、海外から友人が遊びに来たときに、地元を知っている日本人として「おもてなし」をする感覚です。

 これを総務がオフィス内で提供するサービスに例えると、総務はホスト(ホーム)で全社員はゲスト(ビジター)の関係になります。オフィスの全体構成や什器(じゅうき)、電気・空調の仕組み、避難経路などを熟知している総務(ホスト)として、いかに社員(ゲスト)を喜ばせ、ホームにいるような気持ちで働いてもらえるか。この感覚こそが、プロの総務といえるサービスを生むのです。

 社員=顧客と考える総務の仕事では、顧客の気持ちを考えて「たぶん、こうしてほしいだろうな」ということを、サラッとコストかけずに実行し、社員が気持ちよく仕事に専念できるようにしなければなりません。社員の「ありがとう」の気持ちから、生産性は自然に上がっていくものだと筆者は信じています。

オランダでは当たり前 総務の“ホスピタリティ精神”

 数年前になりますが、オランダに出張する機会があり、立ち寄った大学で衝撃的なことを発見しました。HBS(Hospitality Business School)という学部があり、大学生徒が1400人、大学院にも50人以上が在籍していました。

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