ソニーも参入を発表した群雄割拠のEV市場 勝つのは古豪か、新参者か、よそ者か「テスラ一強」も今のうち?(4/4 ページ)

» 2022年01月31日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]
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 いまだEV事業について沈黙を守っているアップルも、この領域では黙っていないはずです。特にティム・クックCEOにとって、就任来のiPhoneを中心とした業績の積み上げは結局のところ、故スティーブ・ジョブズ氏の遺産で食いつないできたものではないのかという揶揄(やゆ)も聞かれる中で、「脱ジョブズ路線」の新規事業展開としてその手腕が試される場でもあります。協力企業を駆使したお得意のファブレス体制で既に試作車をいくつも仕上げているとの話もあり、どのタイミングでいかなるソフトやハードを繰り出してくるのか、その興味は尽きません。

 「安全性」「走行性」の経験とノウハウに勝る既存自動車メーカー、EV生産のノウハウや低価格化には一日の長がある新興のEV専業メーカー、そしてIT技術とその開発力に勝り全く新しいコネクテッドカーづくりを標ぼうするIT大手各社。三者三様の強みと課題は見えてきてはいますが、明確なEVの姿やその製造に関するビジネスモデルは霧の中です。最終的には総合力に勝るEVがマーケットをリードすることになるのは間違いありませんが、各陣営にこれだけ明確に得意分野の違いあると最終的にはどこがどこと組むのか、協業の構図がどのように進むのかが雌雄を決することになるようにも思えるところです。

 1980年代には「通話」以外の価値を持たなかった電話機が、携帯電話という過程を経て30年後には「通話」以外の総合力でその商品価値を競うスマートフォンに進化すると誰が予測できたでしょう。EVの30年後は、どのような過程を経ていかなる姿に変わっているのか。その道筋を作っていくであろう異種格闘技戦はまだ始まったばかりです。

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。


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