コインチェック売上高3.8倍のマネックス、成長ドライバーはNFTとIEO22年3月期1-3Q(2/2 ページ)

» 2022年01月31日 18時35分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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NFT事業はすでに投資を回収

 仮想通貨の販売所取引の伸びがあまりに大きいために、見逃されがちだが、新規事業であるIEOとNFTの立ち上がりも好調だ。コインチェックでNFTなどを担当する天羽健介執行役員は、「NFTは投資回収をすでに完了していて、第2の収益の柱になってきている。本格的にスピードを上げて攻めていきたい」と話す。

 NFT絡みでは、メタバースゲーム大手のThe Sandboxと組んで、メタバース上の土地「LAND」に、2035年の近未来都市「Oasis TOKYO」を制作するプロジェクトを開始した。22年春に一般公開予定だ。「NFTと親和性の高いメタバースを組み合わせていく。メタバース不動産の開発事業、コミュニティの育成事業を考えている」(天羽氏)

メタバース上に仮想東京を開発。不動産開発やコミュニティ育成に乗り出す

 ちなみにOasisとは、スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』に登場する仮想現実世界「OASIS」から取った。

 仮想通貨市場が急激に成長しているだけでなく、NFTやIEOといった取引所事業以外のビジネスが立ち上がってきているのが、コインチェックの強さだろう。

 「コインチェック全体としては、仮想通貨売買があまりに大きいので、それをシェア的に食っていくとなると大変なことだが、成長の大きなドライバーは、IEOやNFTだと考えている」(松本氏)

マネックスグループの松本大CEO

日本、米国、クリプトで3分の1ずつ

 なお、マネックスグループ全体で見ると、コインチェックだけでなく、子会社の米トレードステーションが急速な成長を始めている。米国で証券事業を営む同社は、上場SPACとの統合によるDe-SPACという手法により、上場を予定している。SPAC側からは13億ドルと評価されており、上場による資金調達でさらに成長を加速させる方針だ。

 現在、マネックス証券の日本セグメント、トレードステーションの米国セグメント、コインチェックのクリプトセグメントで、全社収益のほぼ3分の1ずつを稼ぎ出すようになった。

 松本氏は、「コインチェックは、3分の1に留まらず、もっと伸びていく可能性があるのではないか」と、クリプト事業の将来性に期待を寄せた。

コインチェックの急激な成長で、マネックスグループの売上構造はそれぞれ約3分の1ずつに
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