クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

逆境のマツダ 大型FR導入で息を吹き返せるか?鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)

» 2022年02月01日 07時00分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]

新たな大型FRプラットフォームを開発、新型大量導入

 では、今回のコロナ禍という逆境を跳ね返した先にあるマツダの未来は、どのようなものになるのでしょうか。

 その答えは、マツダが21年6月に発表した「2030年に向けた新たな技術・商品方針」と、21年10月の「2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画」にあります。

 この2つの計画を簡単にまとめると、基本的な方針は、次の3つです。

  • 現在は内燃機関の進化をベースに、電動化技術を積み上げるのを基本とする
  • FFベースのスモール商品群とFRベースのラージ商品群の2つを用意する
  • 25年以降にEV専用プラットフォームを導入する

 このように新型を大量に投入します。「22年から25年にかけて、ハイブリッド5車種、プラグインハイブリッド5車種、EVを3車種導入」「モデルとしては、6年間で9モデルを商品化する」と説明しています。さらに具体的には「22年から翌年にかけてCX-50、CX-60、CX-70、CX-80、CX-90」を導入するというのです。

FRベースのラージ商品群では、ガソリン、ディーゼルのエンジンに、マイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドを組み合わせて用意する

 さらに、この計画で重要となるのが北米市場です。マツダは、世界で年間約130万台を販売するメーカーです。そのうち中国と米国という巨大市場では、どちらも年間40万台ほどを販売しています。マツダとして40万台は十分に大きな数字となりますが、トヨタの230万台やホンダの150万台、日産の120万台規模と比べると、まだまだささやかなもの。この北米の数字を高めるために、マツダはトヨタと合弁でアラバマ州に新工場を作り、今年の1月から、新型モデル「CX-50」の生産を開始しています。

 ちなみに、「CX-50」は、これまでの「CX-5」と同じFFプラットフォームから生まれたモデルですが、北米市場専用となっています。そして、残りの新型モデルとなる「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」は、すべてFRプラットフォームの新しいラージ商品群です。名前の通り大きなSUV。北米市場には、ワイドボディの2列シートの「CX-70」と3列シートの「CX-90」が導入されるといいます。

 また、日本や欧州には、もう少し車幅の狭い2列シートの「CX-60」と3列シートの「CX-80」が導入されるとか。つまり、大きなクルマが求められる北米に向けて、ワイドでFRの大きな新型車を投入。その他の市場には、もう少し車幅が狭くて扱いやすい新型車を投入するというのです。

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