「うまい棒」がついに10円から12円に値上げをする(関連記事)。
いまさら言うまでもなく、「うまい棒」は1979年の発売以来、子どもだけではなく大人にまで愛されてきたレジェンド駄菓子。販売元である「やおきん」の公認ファサイト「うまい棒同盟」によれば、年間4億2000万本以上売れているという。そんな「国民食」と言ってもさしつかえない「うまい棒」の値上げ。しかも、発売してから初めてのこととあって、このニュースは大きな話題となった。
ただ、そこで批判的な声はほとんど聞かれない。例えば、フィールド・クラウドソーシング事業の「mitoriz」がモニター約2000人に「うまい棒値上げのニュースをどう思うか」と質問したところ、69.1%が「発売以来値上げをしなかったことがすごい」と回答。ネットやSNSでもこんな賞賛の声があふれている。
「ここまでコスト削減を徹底できるなんて企業努力に頭が下がる」
「子どもたちのためにギリギリまで価格を抑え続けるなんて企業の鏡だ!」
これには、全く同感だ。が、一方でこの「42年間価格据え置き」という偉業を「がんばった」とか「企業努力」というザックリとした話で片付けている世の中のムードにやや危ういものを感じている。
「うまい棒だって42年も10円を守ったんだ、ウチだってギリギリまで安さで勝負だ!」という感じで「値上げしないことが経営」という誤解が広まってしまう。また、このムードにヘンに感化されて、「みんなでがんばれば値上げしないで済む、今は辛抱だ!」なんて根性論を振りかざすブラック企業が増えてしまう恐れもあるからだ。
この42年で、われわれの身のまわりにあるものは価格変動を繰り返している。そんな時代の流れに抵抗し続けることは、「努力」や「がんばり」というスポ根的なコスト削減だけでは不可能だ。
では、「うまい棒」はなぜ42年間も「10円」を守り続けることができたのか。結論から先に言ってしまうと、「製造元が中小零細企業から成長して規模が大きくなった」ことが大きい。「規模の経済」によって生産コストを低く抑えることができていたのだ。
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