――発表した推しごとバッグが話題となっています。なぜ今回、この商品を開発することになったのでしょうか
大嘉: 当社では、ビジネス関連の市場を狙って主にビジネスバッグを開発しています。それに対して私がずっと社内で主張し続けていることがありまして、それが「オタク産業は成長産業」だという点です。例えばキャラクタービジネスの市場規模は小売額ベースで1兆円ともいわれ、靴の市場と同じぐらいの規模があります。
誰もがアニメや漫画などのサブカルチャーに触れるような時代になりましたが、その中でもTPO、いわゆる“ドレスコード”的なモノでオタク活動が忌避され抑圧されているのではと考えていました。
私を含め、ビジネスパーソンがオタクをしていることが当たり前の時代に、何かしらの提案をしたいと考え、私が現在担当している「カバン」のカテゴリーで商品を手掛けようと思ったのがきっかけです。私自身もアニメやSFなどが好きなオタクなので、“オタクチックな爪跡を残したい”という思いがありました。
個人的に企画を考え始めたのが、2019年の冬ごろです。同年の春からバックのカテゴリーを担当していて、ちょうど仕事にも慣れ始めてきたころでした。「自分の思いをしっかり反映した商品をそろそろ企画してもいいのでは」と思い、さらに半年ほど構想を詰め、製品化に向けて動き出しました。
――そんなに熱い思いがあったのですね。エレコムでは、現場の社員から意見を募って製品化することはよくあるのですか?
森本: ちょっと関西のノリというか、「面白いことがあったらすぐやってみよう」という文化がありますね。
商品開発にはもちろんさまざまなパターンがあります。その一つとして、開発担当者があたためている企画や「こんなことをしたら面白くないですか?」という案を積極的に出し、他部署と議論しながら製品化に向けて動くことがあります。
私は同じ部署で彼を見ていますので、今回の企画もすごく大嘉くんらしいなあと思っていました。正直「やってみようぜ!」という、ちょっと“軽いノリ”でスタートした部分もあったのですが、他部署からも幸い面白がってもらえたのでよかったと思っています。
――なるほど。推しごとバッグ開発にあたって、こだわった点はどこですか?
大嘉: 開発段階で大事にしたいと思っていた点は、推し活を生活の一部、ライフワークだと捉えることです。推し活を表現する部分がメインではなく、あくまでバックに搭載する“機能の一つ”と位置付けて開発しました。
痛バッグはすでに多く出回っています。ただ、その多くが「私のかわいいバッグを見て!」といったような、推しのアピールを目的とした使い方、売られ方をしていました。対して推しごとバッグは痛バックとして売り出すのではなくて、推し活をしている人が考える「日常で使えるこんな機能があるバッグがあったらいいな」にこだわりました。
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