「関西シウマイ弁当」を手にするために行列! 担当者に開発秘話を聞いた週末に「へえ」な話(2/4 ページ)

» 2022年02月05日 08時08分 公開
[土肥義則ITmedia]

「関西シウマイ弁当」誕生のきっかけ

 関西シウマイ弁当の中に入っているシウマイは、崎陽軒が担当している。昆布や鰹節といった関西のだし文化と融合させることで、西の“シウマイ”を完成させた。

 シウマイ以外のおかずを見ると、筍煮は拍子木切り筍煮に、鶏の唐揚げは鶏のあご出汁唐揚げにして、鮪の漬け焼は鯖の幽庵(ゆうあん)焼に。玉子焼きは出し巻玉子にするなど、関西の人が思わず手に取りたくなるような工夫を施している。また容器には、本家と同じ「経木折(きょうぎおり)」を使うことによって、「シウマイ弁当の冷めてもおいしいことへのこだわりを継承しました」(まねき食品の担当者)という。

関西人が好む味付けに

 それにしても、なぜ関西シウマイ弁当は生まれたのだろうか。「崎陽軒のことはなんとなく知っているよ」といった人は多いかと思うが、まねき食品については「聞いたことがないなあ。どんな会社なの?」と感じられたかもしれない。

 同社の歴史は古くて、創業は1889年(明治22)である。山陽鉄道の開通にあたって駅構内の販売許可を取得し、駅弁の販売を始めた。ちなみに、「幕の内弁当」をつくったのは同社で、当時の弁当には13種類のおかずが入っていて、二重の折詰。現在の価格に換算すると、1700円ほどになるので、「今日はハレの日なので、ちょっと“ごちそう”にするか」などと言って、買った人も多かったのかもしれない。

元祖「幕の内弁当」

 筆者が個人的に気になっているのは、まねき食品が手掛けている「えきそば」(390円〜)だ。終戦後、小麦粉の替わりにコンニャク粉と混ぜたそばを販売していたが、現在は、かんすい入りの中華めんに和風だしの味で提供している。JR姫路駅のホームなどで出店していて、サラリーマンや学生などが立って食べている姿を目にすることができる。駅弁に入っている「拍子木切り筍煮」は、このえきそばの出汁を使って味付けをしているので、ファンにとっては心を揺さぶられる一品になっているのだ。

JR姫路駅などで提供している「えきそば」

 また、ちょっと話がそれてしまった。老舗のまねき食品がなぜ関西シウマイ弁当を手掛けるのようになったか、である。結論を先に言うと、コロナの感染拡大によって売り上げが大きく落ち込んだことがきっかけである。鉄道の利用客が減少したことを受け、駅弁の販売数が急激に低迷したのだ。

 まねき食品の岩本健司さん(営業部)によると、「コロナ前から、崎陽軒さんと一緒に何かできればいいなあと考えていました」という。しかし、崎陽軒はこれまで他の駅弁業者とコラボをしたことがない。ということもあって、「無理を承知のうえ、お願いしたところ、快く引き受けてくれました」(岩本さん)とのこと。

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