「日本人コーチの下急成長」「米国から帰化、モデル兼業」中国Z世代金メダリストの広告価値が急騰浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/5 ページ)

» 2022年02月17日 07時10分 公開
[浦上早苗ITmedia]

従来の中国アスリートとも違う魅力

 中国はこれまで冬の五輪で苦戦を強いられてきた。1980年の初参加から18年の前回大会まで獲得した金メダルは合計13個。しかも大部分がスケートで、雪上競技は1つにとどまっていた。

 それが今大会は蘇選手の優勝によって金メダルは史上最多の6つとなり、うち雪上競技が3つを占める。

 蘇、谷両選手は、一般社会とは隔離されたトレーニング施設で練習漬けの生活を送り、メダルを獲得すると政府や国家主席への感謝を述べる従来の中国のアスリート像とも大きく異なり、自分のために楽しく滑っている雰囲気を醸し出している。

 国内で歴史が浅いスキー・スノボという競技の特性や、海外リソースによって育ったことが強く影響しているが、2人の姿が中国の消費分野で注目されている「Z世代」の価値観にもフィットするから、企業からのオファーが殺到している。

世界的な大企業が、谷選手と広告やアンバサダー契約を結んでいる(筆者作成)

 谷選手は中国代表に転身した19年以降スポンサーが急増。同年に10社近くと広告・アンバサダー契約を結び、現在その数は30社近くに増えた。

 8日に金メダルを獲得した直後は、スポンサー企業が次々にSNSのウェイボでお祝いの投稿をし、国民の祝福投稿も殺到したためウェイボが一次ダウンした。

 街頭、交通機関、インターネット、SNSに至るまで、どこにいても彼女の広告が追いかけてくる感じだが、最近は「露出しすぎ」「どの企業の広告も同じように見える」との声も聞かれるようになった。

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