米国で順調なキャリアを歩んでいた谷選手の中国代表への転身は、彼女の母親が「雪上競技でスターがいない中国の方が、市場価値が上がる」と判断したとも噂されている。その転身は中国では大歓迎されたが、さまざまな矛盾をはらんでいる。
中国は二重国籍を認めていないが、谷選手は米国籍を放棄せずに中国籍を取得した疑いがささやかれ、本人も曖昧な回答に終始している。
米国はウイグル問題に厳しい態度を取り、先進国では新疆綿の使用を控える動きが拡大しているが、谷選手がスポンサー契約を結ぶ安踏体育は中国政府と足並みをそろえ、新疆綿も堂々と使っている。
谷選手がよく登場するファッションメディアなどは政治的問題をスルーしているが、同選手が今後も中国人として生きていくのか、それとも中国と谷選手は単なるビジネスパートナーなのか非常に不透明だ。
一方、蘇選手のマネジメントを担当するアスリート専門マネジメント会社IMGの責任者は、同選手が金メダルを獲得した15日、「本人が目立ちたがり屋でないこともあり、殺到している企業オファーは基本的に遠慮している」と明かした。
責任者はさらに「選手の名が売れる前は優良ブランドとのコラボ案件の獲得に尽力するが、一旦売れるとブランド側から続々と声がかかるようになる。その時にはアスリートのブランドを守る方に注力すべきだ」「あまりに多くの企業とスポンサー契約を結ぶと、消費者の関心を引く効果が薄れ、企業側にとってもコスパが悪くなる」と付け加えた。
その発言はまるで、谷選手を反面教師にしているような口ぶりだった。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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