たった半年で株価が半額……TikTok攻勢にFacebookはついに“オワコン”か?古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/3 ページ)

» 2022年02月18日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

TikTokの攻勢

 同社の決算発表会で、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏はしきりにショート動画SNSの「TikTok」との競争を要因に挙げた。

 この傾向は、株価がメタの不調を織り込む遥か前からGoogleの検索データが示唆していた。Googleにおける検索キーワードごとのボリュームを示すGoogle Trendsから検索キーワード「Facebook」「Instagram」「TikTok」のボリューム推移を確認しよう。

オコスモ作成 TikTokにシェア喰われたFacebook TikTokにシェア喰われたFacebook

 まず、もっとも目を引くのが「Facebook」ではないだろうか。このワードは17年の5月にピークをつけてから、5年近く右肩下がりとなっていた。

 さらに、Facebookよりも若者向けのターゲティングで成功を収めたInstagramも、20年のコロナ禍から停滞を続けている。Instagramは「映え」という言葉が有名であることからもうかがえるように、旅行先や外食先のキレイな写真をアップロードするという使われ方をしてきた。

 Facebookもどちらかといえばビジネスや旅行などといった“リアル”の活動を発信するSNSとして広がりをみせた。したがってこれらのアプリケーションは、実は経済活動の停滞によって潜在的にはダメージが蓄積されていたのではないだろうか。

 一方で、競合のTikTokはそんなコロナ禍でも着実に両アプリのシェアを喰っている。ここで、TikTokのコンテンツに目を向けると、家の中でも撮れるような短い動画や、ちょっとしたスペースがあれば収録ができてしまう教育的なコンテンツなどが支持を集めている。

 TikTokには、フォロワーがいない状態で動画を投稿しても、それが時に何百万ものいいねがつくほど「バズる」ことがある。これは、一定数のユーザーへ「おすすめ動画」として動画が自動で表示され、そこからの視聴パフォーマンスに応じて他のユーザーのおすすめ動画にも表示されていくという類のアルゴリズムが使われているからだ。

 InstagramやFacebook、YouTubeなども例に漏れないが、これらのSNSで有名になろうとすると、必ず地道な「下積み」が要求される。しかし、TikTokではユーザーの満足度が高いコンテンツを出し続けられれば、すぐに有名になれる。この点で、先出のアプリにおけるクリエイターの負担を圧倒的に軽くしたことが躍進の要因だろう。

 FacebookやInstagramが仮にコロナ禍の影響を受けているとすれば、コロナ禍収束によってDAUは再び持ち直す可能性もある。しかし、検索トレンドは、コロナ禍が起きる遥か前から、「TikTokの隆盛とInstagram、Facebookの停滞」を示唆していた。そのため、コロナ後も、このような流れは引き続き発生していくことも覚悟しておかなければならなそうだ。

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