JR九州は副業に熱心な鉄道会社であり、東京でもJR九州系列のホテルや飲食店をよく見かける。飲食店の「うまや」(JR九州フードサービス)、ホテルのJR九州ホテルズといったものがある。
建設事業にも力を入れており、JR関連以外でも、官公庁や民間の建設事業を請け負っている。不動産は商業施設だけではなく、マンションの賃貸も行っている。
そういった事業構造があり、営業収益における鉄道事業の割合は上場している他のJRに比べて小さなものとなっている。
この背景には、鉄道会社の名前でどう商売をしていくのか、経営陣の努力が見て取れる。普通ならば、東京まで店を進出させて九州の料理を食べさせる、という発想にはならないはずだ。副業を行ううえでほかのJRよりもはるかに能力が高く、自社のメインビジネスと関連のないエリアでも事業を展開する発想はなかなか出てこない。
私鉄各社では、系列会社が全国でビジネスを展開することはあるが、JRではなかなかない。こうした活動が、JR九州の経済活動を支えている。
鉄道事業を守るために必要なのは新規事業の創造であり、場合によっては自社エリアから出てでもやるという考えも必要である。もちろん、JR九州には守れない線路がある。それでも事業エリアを拡大するのは、閑散線区の経営が厳しいということだろう。
JR九州が近年廃線にしたり、廃線の話が出たりしているのは、災害での被災路線である。限界を越えてがんばっているのは、JR九州である。
鉄道事業のために副業をがんばっている鉄道は多く見られるものの、JRで副業に最もチカラを入れているのは、JR九州ではないか。
JRは国鉄だったこともあり、ビジネスマインドは私鉄に比べ若干劣る。今のJRには、総合商社のような事業開発能力が必要だ。
もちろん、コロナ禍の余裕のない中で資金を投じて事業開発をするのは難しい。しかし、ビジネスアイデアを考えておかなければ、アフターコロナに立て直しを図ろうとしても、できないのではないか。
鉄道会社、特にJRには、アイデアパーソンが必要である。
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