JRが鉄道事業を維持するために、強化すべき「副業」は何か鉄道会社の苦悩(1/5 ページ)

» 2022年02月25日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 コロナ禍で鉄道事業は厳しい状況に追い込まれている。繰り返し起こる新型コロナウイルスの感染拡大、そのたびに発出される「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」。オミクロン株拡大の局面では感染者が大きく増加し、本来ならば「緊急事態宣言」でもいいはずだが、「まん延防止等重点措置」でなんとか済ませている。

 そうした状況が何年も続く中で、JR各社は経営状況が悪化している。

コロナ禍で困難が続く鉄道事業(写真提供:ゲッティイメージズ)

 JRは民営化後、さまざまな事業を展開してきた。一方で私鉄は、沿線囲い込みの多角化経営ビジネスを長年行っている。鉄道各社が有価証券報告書で公開しているセグメント別売上を確認すると、私鉄は鉄道や運輸以外の事業による収入のほうが多い。

 JR各社の経営の厳しさは鉄道・運輸事業を中心としてきたことが大きいものの、鉄道事業を縮小するわけにはいかない。

鉄道事業を縮小しようとするJR西日本

 利用者が少なく、赤字が多い鉄道事業は今後どうするのか。例えばJR西日本は、路線の状況によっては「廃止」という選択肢も必要、と考えているだろう。4月にローカル線の区間別収支を公表する予定である。

 コロナ禍前に輸送密度2000人以下だった路線について、どれほど経費が発生したかを示す方針だ。大糸線や芸備線については、輸送密度のあまりにも少ない状況を考え、存廃を検討する状況にもなっている。

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