なぜこのような線区が生き残れたかといえば、都市部の鉄道路線網での利益や流通業、不動産、ホテル事業で稼いだお金を、これらの線区の維持管理に投入できたからだ。
しかし、鉄道とシナジー効果が大きい業種は、鉄道事業の盛衰にも左右される。鉄道に乗って旅行や出張をする人がいなければ、ホテルに泊まる人もいなくなる。
そうした状況から、過疎地の路線網を維持できず、よくいえば地域の実情にあった公共交通のモードに転換するしかなく、悪く言えば廃線にするしかないという状況に追い込まれてくる。
では、JR西日本のセグメント別売上や利益はどうなっているのだろうか? 2020年度の有価証券報告書で見てみよう。
運輸業がセグメントとしては最も大きいものの、不動産業が存在感としては大きなものを見せている。また、流通業にも力が入っている。
建設事業や旅行業、宿泊などその他の事業は、内部での売り上げが大きい側面がある。運輸業の赤字は大きく、ほかの部分では補いきれない側面がある。
一方、JR西日本の流通業にはまだまだ可能性がある。鉄道駅近くの商業施設が中心となるため、駅から離れたところに商業施設を構える、といったことも検討すべきだ。百貨店や駅ナカ商業施設といったコロナ禍の影響を受けやすい施設を運営している現状があり、もっと一般の生活者、消費者に近いところで商業施設事業を行う必要がある。
もちろん、関西などの大都市圏だ。関西ではスーパーマーケットの買収合戦が一時話題になったが、この辺りに参加してもよかったのではないか。
鉄道に乗らない人の生活をサポートする事業への進出が、待ったなしといえるだろう。
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2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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