岸田ショック(Kishida Shock)という言葉が世界中で広がりを見せつつある。
これまでの政府は、日本国民の高すぎる現金比率を改善するため、「貯蓄から投資へ」をスローガンに、国民の預金を株式に移転させてきた。
元々は預金になっていたはずのお金が投資に回ったのであれば、岸田文雄首相が検討している金融所得一律増税は、実質的な「預金課税」といって差し支えない。金融所得増税は個人にかかるものであるため、法人の機関投資家には増税の影響がない。
それでも、日本株に個人マネーが流入しにくくなることは、当然法人の機関投資家にとってもネガティブな要素となる。そのため、大きな資金を動かす期間投資家や外国人投資家も日本市場を忌避するようになってきている。そして、この動きは徐々に世界中へ認知され始めている。
2021年には、英・ファイナンシャル・タイムズや米・ウォール・ストリートジャーナル、今年は米・ブルームバーグなどといった世界的メディアが相次いで「Kishida Shock」を見出しとしたニュースを配信している。
‘Kishida Shock’ Hits Japan Markets With Investors Wary of Redistribution Plans
Japan stocks suffer ‘Kishida shock’ as new leader suggests tax rise
Japan Doesn’t Need ‘Kishida Shock’ Therapy
一方で、岸田内閣の支持率は多少下がったとはいえ非常に高い水準で推移している。22年2月のFNN世論調査によれば、岸田内閣の支持率は初めて下落して62.6%だったという。支持すると答えた人の多くは、岸田首相の人柄が信頼できる(18.3%)という点であったり、実行力に期待できる(19.7%)という点であったりがポジティブに映っているようだ。
「新しい資本主義」を掲げ、賃金上昇を阻む「株主」の存在を喧伝する岸田氏。岸田氏を支持すれば、そんな株主を成敗し、賃金が上がると期待する国民も少なくなさそうだ。
しかし、そのような「株主イジメ」による弊害は、回り回って一般庶民に返ってくる可能性が高く、決して他人事ではない。
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