くらしアプライアンス社が、従来の家電販売とは異なる新しいビジネスモデルに踏み切った理由には、いくつかの側面があるが、消費者の価値観のシフトが大きいようだ。冒頭でも触れたとおり、近年のシェアリングエコノミーやサブスク市場の成長は目覚ましい。自宅で過ごす時間が極端に増えるなかで、自宅環境の充実を図りたいという声も聞かれる。
加えて、人口減少に伴い空き家が増えている課題も。野村総合研究所の推計によると、既存住宅の除却や住宅用途以外への有効活用が進まなければ、33年には2147万戸にまで空き家が増えると予測されている。
廃棄物の課題もあり、まだ使えるにもかかわらず、引っ越しなどで不要になり廃棄される家電は少なくないという。やや古いデータではあるが、経済産業省が発表した18年の家電リサイクル率は59.7%にとどまっている。
「人々の需要の変化に対し、新しい選択肢を提供したい。さらに、対処すべき社会課題に対して、当社だからできることとして、賃貸業界向けのサブスクを考案しました」(太田氏)
同社のメリットとして、これまでリーチできていなかった層にリーチできることも期待している。
「特に、コスト面で先進家電の購入をあきらめていた人たちでも、賃貸として手軽な値段で利用できるのであれば、使ってみたいと考える人がいるのではないかと考えました」(太田氏)
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