JR東もトライアル採用 施設内を自動で巡回・データ収集するソリューションを提供ロボットがビッグデータを自動収集

» 2022年03月04日 13時33分 公開

 トッパン・フォームズ(東京都港区)とブルーイノベーション(東京都文京区)は、自動巡回点検ソリューションの共同提供(以下、AGV)を開始した。人による点検作業を自動化し、ロボットがアナログな施設機器情報のビッグデータを自動収集。DXのためのデジタライゼーション(情報のデジタル化)を進める。人手不足の解消や業務の共有化、効率化を向上させる狙い。

施設内を自動巡回するAGV(左)と「BEPサーベイランス」の管理画面(右)

 本ソリューションは、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)にカメラ、マイク、センサーなどを搭載し、倉庫や工場など施設内の点検作業を自動で行うもの。担当者の目視による点検などがいまだに多く、人手不足が深刻化する中で急務となっている作業の効率化や自動化を推進する。

 人が行っていたデータ取得のための巡回が不要となるだけではなく、ブルーイノベーションが開発した複数のドローンやロボット、各種デバイスをデバイス統合プラットフォームをベースとした「BEP サーベイランス」と、トッパンフォームズのIoTソリューションを組み合わせ、点検担当者の負荷を軽減する自動巡回点検ソリューションを実現した。

 AGVの各種デバイスを、デバイス統合プラットフォームの「Blue Earth Platform®」(以下、BEP)を利用し、一つの指示で自動的に業務を達成できる。自動巡回点検ソリュ―ションは、AGVの巡回コースや時間設定、データ取得・保存までをひとつのインターフェースで管理する。

 また企業や現場の異なる点検項目に対して、カメラ、マイク、センサーなどのデバイスを搭載するカスタマイズが可能で、5G(第5世代通信システム)による通信や、データのAIによる解析にも対応させた。

自動巡回点検ソリュ―ション

 BEPサーベイランスは、BEPが持つ機能のうち、ドローンやロボットが施設内を自動巡回し、データの収集や解析を行う業務(設備保守や巡視点検など)に必要な機能やデバイスをパッケージにしたもの。デバイスにAGVを採用したことで、BEPの応用領域の拡大を目指す。

BEPサーベイランスの管理・運行画面と自動巡回する AGV により撮影された画像と解析結果表示

 今回、JR東日本の東京総合車両センターの列車保守点検業務でトライアルを開始。これまでは車両内の各機器の状態を作業者が目視で点検・確認をしていた。本ソリュ―ションにより必要な点検を無人かつ自動で実行でき、作業品質の向上や作業時間の短縮、無人化による効率向上が見込まれる。

 各種巡視点検業務へのロボットやドローンの活用は、これからさらに市場が拡大していく。トッパンフォームズとブルーイノベーションは共同で、本ソリューションを鉄道業界から製造業、インフラ企業に拡販していく考えだ。

 AGVを活用したBEPサーベイランスの本サービス開始は2022年10月ごろを予定。さらに、AGVとドローンを連携させた自動巡回の実証実験も既に開始しており、22年度中のトライアル開始を予定している。

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