iPhone SE第3世代登場、8000円値上げのワケ

» 2022年03月09日 09時32分 公開
[ITmedia]

 アップルは3月9日早朝、「iPhone SE」第3世代など複数の製品を発表した。ハイエンドプロセッサ「M1 Ultra」を搭載した「Mac Studio」も登場したが、注目は発表前からうわさのあったiPhone SEだ。

 従来と同じデザインに、最新チップを搭載したのは事前の予想通りだが、価格は5万7800円と8000円ほどの値上げとなった。

 iPhone SEは数世代前のきょう体を使った廉価モデル。2020年に登場した第2世代から、2年ぶりの刷新となる。デザインなどは17年に登場した「iPhone 8」を引き継いでおり、画面サイズも4.7インチと小ぶり。またホームボタンと指紋認証機能である「Touch ID」を備えている。

 小ぶりなサイズ、マスクを付けたまま認証できる指紋に対応していること、そして何より安価なことから、国内で人気機種となっており、BCNの調査では2021年のスマートフォン実売台数ランキングでトップとなった。

最新チップ、5Gに対応

 見た目は従来から変わらないが、内部はしっかりと進化している。チップにはiPhone 13 Proと共通の「A15 Bionic」を搭載。さらに5G通信にも対応した。ビデオ再生時間で計る連続駆動時間も、第2世代の13時間から15時間にアップしている。重量も148グラムから144グラムとわずかに軽くなった。

チップは最新だが、比較対象がiPhone 6s、7、8だというあたりに、iPhone SEの立ち位置が現れている

 一方で、廉価モデルらしくカメラはシングルレンズ。スペックを見る限り、第2世代から変化はない。ただし、チップ性能を生かした高画質化機能(Deep Fusion)やスマートHDRなどには対応した。

 なお5G通信は、米国モデルにおいてもミリ波に対応せず、Sub6のみの対応となる。

 派手な機能はないものの、最新スペックを盛り込んだコストパフォーマンスのよい端末だといえるだろう。

価格は8000円アップ

 一方で気になるのは価格だ。64Gバイトモデルで5万7800円と、第2世代の4万9800円から約8000円、16%ほど値上げされている。指紋認証は評価されているものの、iPhone SEの最大の魅力は5万円を切る価格だった。SNSでは、「思ったより高い」という声が散見される。

 米国モデルでみても価格は上がっている。第3世代iPhone SEは429ドルで、これは第2世代発表時の399ドルから7%のアップだ。

 ドル建て価格よりも日本円価格のほうが高いのは為替の影響もある。第2世代発表時のドル円は107円。しかし現在は115円と、7%も日本円の価値は下落した。このことが、第3世代iPhone SEの8000円アップにつながっている。

2年前の第2世代発売時から、円は7%ほど安くなった

 値上げということで、第2世代iPhone SEを値下げして併売することも期待されたが、アップルは販売を終了した。これによって、新品のiPhoneとしては、5万7800円の第3世代iPhone SEが最廉価モデルとなる。

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