“豆まるごと”でバカ売れ 新たな主食を目指したミツカングループの“ZENB ヌードル”とは?あの会社の「SDGs」(1/4 ページ)

» 2022年03月10日 06時30分 公開
[上間貴大ITmedia]

連載:あの会社の「SDGs」

 ここ数年、さまざまな場所で目にするようになった「SDGs」。取り組みを進める企業がある一方、コスト面や売り上げへの影響など、大きな課題に直面している企業もある。実際に導入している企業はその課題をどのように解決しているのだろうか。身近な事例から、SDGsに取り組みメリット・デメリットを考えてみたい。

 日本人は麺が好き――。少し古い調査だが、2019年7月にマーケティングリサーチを手掛けるマイボイスコム(東京都千代田区)が実施した調査では、73.9%が麺類を「週に1回以上食べる」と回答した。ラーメンやうどん、パスタなど調理が簡単で食べやすく、単品で済ませられることが支持されているようだ。

 そんな麺市場に、新しい商品が登場し人気を博している。ミツカングループのZENB JAPAN(愛知県半田市)が展開する「ZENB(ゼンブ)ヌードル」だ。20年9月に販売を開始し、22年3月までに累計300万食を突破した。

 麺といっても小麦粉やそば粉でできたものではない。北欧やロシアなどで伝統的に食べられてきた「黄えんどう豆」を原料に製造している。しかも、通常なら捨てられる薄皮までまるごと使用した商品だ。

ZENB ZENB JAPANが展開する「ZENB ヌードル」(以下、プレスリリースより)

 「いやいや、豆を使った麺なんて、おいしいの?」「普通の麺の“代用品”でしょ?」そう思った人もいるだろう。食材をまるごと使うという新たな製造方法に挑戦しながら、なぜ300万食を売り上げる商品に成長したのか。担当者を尋ねた。

ミツカングループが手掛ける「ZENB」

 ミツカングループであるZENB JAPANは19年3月に事業をスタート。資源を効果的に使うために、通常は捨てられる植物の皮や芯、さや、種なども使用し、おいしさも栄養も「まるごといただく。」ことをコンセプトとする商品を手掛ける。

 1804年に創業したミツカンの歴史にもサステナブルな取り組みが関係している。創業した当時、捨てられるのが当たり前だった「酒粕」に着目し、お酢を開発した経緯がある。

 「ミツカン創業から215年を迎え、10年、20年後を見据えた時に、会社がどう世の中に貢献できるか約1年半議論し、18年に『未来ビジョン宣言』を発表しました」と話すのは、ミツカンの新規事業開発マネージャーの長岡雅彦氏。

 “おいしさと健康の両立”“人と社会と地球の健康”といった目標の達成に向けた取り組みを示した「未来ビジョン宣言」の象徴となるのが、ZENBブランドだという。

 ZENBブランドでは現在、「ZENB ヌードル」のほか「ZENB スティック」や「ZENB ペースト」などを展開。いずれの商品も野菜の皮や芯までを可能な限り使用し、ECでの販売を中心に展開している。

ZENB 素材をまるごと使った「ZENB」シリーズ
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