台湾の果物「アテモヤ」は日本で商機をつかめるか 越えるべきハードルは?パイナップルに続け(1/4 ページ)

» 2022年03月11日 19時55分 公開
[濱川太一ITmedia]

 タピオカミルクティ、台湾パイナップル、台湾カステラ――。近年の台湾ブームに、新たなアイテムが加わろうとしている。「アテモヤ」という果物が2021年末から、日本に輸入されている。台湾ではマンゴーをはるかに凌ぐ高級フルーツとして知られ、濃厚な味わいから別名「森のアイスクリーム」とも称される。21年に話題を呼んだ台湾パイナップル同様、アテモヤも中国による突然の「輸入禁止」措置を受け、台湾は急きょ、官民連携で日本への販路開拓に乗り出した。果たして、日本市場で商機をつかめるのか。

別名「森のアイスクリーム」の異名を持つアテモヤ

 半解凍した乳白色の果肉を頬張ると、口全体にさわやかな甘さが広がる。マンゴーの濃厚な触感と、ライチの甘みを足したような新しい味わいだ。

 アテモヤは台湾南東部・台東県が主な生産地で、日本では沖縄県の一部で生産している。「バンレイシ(釈迦頭)」と、その近縁種「チェリモヤ」を掛け合わせた新種の果物で、栄養価が高く、アテモヤ1個あたりのビタミンC含有量はリンゴ13個分に相当するという。

 台湾ではこれまで年間約5万7000トンのアテモヤを生産し、そのうち3割にあたる約1万6400トンを輸出してきた。輸出の9割以上が中国向けだったが、21年9月、中国は突然、台湾からアテモヤの輸入停止を発表。「害虫の検出」を理由にするが、台湾では、中国政府と距離を置く蔡英文政権への「政治的圧力」だとする見方が強い。

 そこで行き場を失ったアテモヤを日本に広めようとする動きが21年9月以降、台湾の官民を挙げて急速に起こり始めたのだ。

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