ロシア依存からの脱却が再生可能エネルギーに与える影響フィデリティ・グローバル・ビュー(3/4 ページ)

» 2022年03月17日 09時00分 公開
[Jenn-Hui Tan & Matthew Jenningsフィデリティ・インターナショナル]
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エネルギーの自立とネット・ゼロ達成に向けた再生可能エネルギーの加速

 欧州の各国は、化石燃料の代替資源を探すだけでなく、ネット・ゼロに向けた動きを加速させる長期計画も示しています。

 これまで2040年のネット・ゼロ目標を掲げていたドイツは、目標達成時期を2035年に前倒しして、2030年までには目標の80%を達成できると見込んでいます。ドイツの経済・気候保護省政務次官のオリバー・クリッシャー氏はこの変更を、ツイッターで「Stand with Ukraine」(ウクライナと共に立ち上がろう)というハッシュタグを付けてつぶやいています。他の欧州諸国も同様の意向を示していますが、今のところ、ネット・ゼロの目標に改めて言及した国はありません。

 本稿執筆時点では、欧州への原油とガスの供給は途絶えていません。しかし、各国はそうした事態に備えており、結果として価格が大幅に上昇しています。これは、より低コストの電力に切り替えるインセンティブをさらに高めることになります。

 近年、再生エネルギーに関連する建設・運用コストが大幅に低下し、経済的にはネット・ゼロ実現に向けて弾みがついています。例えば、太陽光エネルギーの発電コストは過去10年で80%ほど下がりました。ドイツのような技術力が高い国で投資が増え、エンジニアリングの専門知識の活用が進めば、さらにコストを下げることができるでしょう。地政学的、環境面での必要性にも鑑み、計画の許認可プロセスを早めることもできるでしょう。

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