とはいえ、鉄鋼やアルミニウムなどネット・ゼロへの移行に必要なコモディティの価格は、パンデミック(世界的大流行)後の需要回復を背景にしてウクライナ侵攻前からすでに上昇しており、ここ数週間でさらに値上がりしています。
電気モーター、太陽電池、バッテリーに必要なレアメタルは、ロシアと中国に生産が集中しているため、特に大幅な価格上昇に見舞われやすくなっています。これらの重要なサプライチェーンへのアクセスを維持することは、再生可能エネルギーへの移行を成功させるために不可欠です。
そして、安定性の確保も課題です。風力発電や太陽光発電は出力が安定しないため、広く普及させるには貯蔵技術の飛躍的な進歩が必要です。
ロシアによるウクライナへの侵攻後、こうしたニーズの高まりを市場が織り込み始めています。例えば、最近のグリーン水素製造関連企業の株価を見ると、まだ大規模には実証されていないこの技術がいつかソリューションの1つとなる、と信じている投資家がいることを示唆しています。
ウクライナでの戦争が続く中、化石燃料の輸入に依存するエネルギーシステムから脱却するメリットはより明確になっています。ネット・ゼロに向けた移行にはまだ課題があるものの、欧州のエネルギー供給網がよりクリーンで、これまで以上に自給自足できるようになるのはそう遠くない将来のことかもしれません。
グローバル・ヘッド・オブ・スチュワードシップ&サステナブル・インベスティング。エンゲージメントから議決権行使、ESGインテグレーションを含む戦略および方針策定といったフィデリティのサステナブル・インベスティング活動全般の責任者を務める。2007年フィデリティ入社。
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