大手不動産デベロッパーのタカラレーベンが、コロナ禍の中、ホテル事業に新規参入する。第1号店となる「HOTEL THE LEBEN OSAKA」を、大阪・長堀橋に3月24日にオープン。
「コロナ収束が予想される2025年には、事業を加速させたい」と、秋澤昭一常務執行役員は意気込む。狙いはどこにあるのか。
タカラレーベンはマンション事業を中心とする総合不動産デベロッパーだ。近年は大規模太陽光発電事業にも取り組むなど、事業を多角化してきた。今回のホテル事業も、多角化の1つだ。
マンション事業で培ったノウハウを生かし、住まいのように快適に過ごす要素をホテルに盛り込むことを狙う。「日本には広くて落ち着ける空間のホテルが少ない。豪華なきらびやかな空間ではなく、シンプルだがゆったりした空間に価値を見いだしていきたい」(秋澤氏)
建物はメトロ長堀橋から3分、心斎橋駅から8分に位置し、15階建て全107室。都市型ホテルで一般的な15−20平米ではなく、全室30平米以上の広さを特徴とする。また、欧米で一般的な、料金が宿泊人数によらないルームチャージ制を採る。
このホテル事業は、もともとインバウンド需要が活発なときに検討を始めた。ところが、そこでコロナ禍が起きる。すぐに完全収束はないと見立てながらも、「その中で価値の最大提供ができるやり方はないのか? と開業を決断した」(秋澤氏)
大阪は、25年の万博、IR(統合型リゾート)計画もあり、インバウンドが戻ってきたら大きな需要が見込まれるエリアだ。ただし、外国人旅行者からは日本のホテルが狭いということが問題視されてきた。
それが、豪華にはせず価格は抑えた上で、広さを確保するというHOTEL THE LEBEN OSAKAのコンセプトにつながる。
将来的には、大阪以外の大都市部への出店拡大をイメージしているというが、コロナ収束を見込む25年まで我慢の時期のようだ。「初年度は戦う土俵にも上がらない。まずは認知度を上げる。稼働率もターゲットを設定していない」と、秋澤氏は話す。
一方で、コロナが収まりさえすれば、収益性は高いと目論む。「コロナが収束して正常なマーケットに戻ると単価が30−40%上がるくらいのポテンシャルはある」(秋澤氏)
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