実際、コード決済のチャージ部分にBANK Payを採用するサービスはジワジワと増えている。
例えばユニクロが提供する「UNIQLO Pay」は、事前チャージではなく即時決済を採用するコード決済だ。支払い方法としてクレジットカード払いのほか銀行口座払いが選択できるが、この銀行口座払いの仕組みはBANK Payを使っている。
ハウスプリペイドサービス大手のバリューデザインも、BANK Payを採用すると発表した。これによって、ハウスプリペイドを導入する企業は、チャージ方法の1つとしてBANK Payを選択できる。
ではなぜBANK Payが注目されるのか。1つは手数料の安さだ。クレジットカードには数多くの企業がかかわっており、それぞれが手数料を取るため料率が高い。経済産業省がまとめたカード取引のコスト・収益構造によると、加盟店が支払う手数料の平均は3.24%にのぼる。
一方で、BANK Payの手数料は「だいたいクレジットカードの半分以下」だと、三井住友銀行でBANK Payにかかわるトランザクション・ビジネス本部長の磯和啓雄執行役員は話す。
UNIQLO Payやハウスプリペイドなど、店舗独自の決済サービスはコストにシビアだ。特にスーパーや小売業界では粗利率が低く、3%近くも決済手数料に取られては利益が吹き飛んでしまう。そうした点からBANK Payは注目されている。
2つ目の点は、複数の銀行を束ねるアグリゲーションの観点だ。銀行口座からのチャージには口座振替という手段があるが、これは各銀行とそれぞれ契約を結び接続する必要がある。バリューデザイン事業開発部担当部長の大前匡広氏は「単独金融機関からのチャージも検討したが、マルチバンクを掲げるBANK Payを採用した」と話す。
BANK Payに参加する金融機関は、3月時点で5メガバンクや地銀34行を含む125行だ。しかし、現在地銀などから参加の問い合わせが増加しており、「25年には1203行、オールバンクで使えることを目指す」(磯和氏)という。
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