お店がやって来た! なぜ移動販売で“高い商品”が売れたのか「実証実験」の結果(2/4 ページ)

» 2022年03月20日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

2つの課題に着目

 三井不動産が運営する商業施設「ららぽーと」で、後藤さんはテナントのリニューアルなどを担当していた。社会環境や契約期間などによって、施設とテナントにミスマッチが生じることがあった。そうした課題を解決することはできないかということで、2つのことに着目した。1つは、出店にあたって資金を抑えること。もう1つは、場所を変えること。

 クルマで移動しながら販売すれば、開業資金は低く抑えることができるし、場所を変えれば売れるかもしない。構想は18年から練っていたが、あれこれしているうちにコロナの感染が広がって、密を避けて購入することが“当たり前”の世の中になった。

 移動販売にとってフォローの風が吹き始めたわけだが、実績がなかったので、消費者はどんなモノを欲しいと思っているのかがよく分からない。そもそもこのビジネスはうまくやっていけるのかどうか不透明なところがあったので、20年9月に実証実験を始めてみた。

2020年9月、首都圏で実証実験を行う

 場所は、東京の豊洲、晴海、板橋など。飲食、アパレル、雑貨、包丁磨き、お香、靴磨き、整体など10業種10店舗が参加したわけだが、結果はどうだったのか。このビジネスを始める前に、社内からはこのような声があった。「高価な商品は苦戦するのではないか」と。この意見に、筆者も同感である。

 「移動販売=お弁当」の固定観念があるので、価格は1000円ほどという考えがびたーっとこびりついているのだ。しかし、である。1万円以上の商品が人気を集めていて、売り上げのトップ3を見ると、「アクセサリー」「オーダースーツ」「健康器具」が並び、想定の3倍以上も売れたところもあったのだ。

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