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Zホールディングス川辺、出沢CEOに聞くメタバース、Web3、NFT 「大きなチャンスになる」新たなビジネスになるか(1/2 ページ)

» 2022年03月30日 10時35分 公開
[中西享, 今野大一ITmedia]

 日本最大のポータルサイト「Yahoo! JAPAN(ヤフージャパン)」を運営するヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)と、LINEが経営統合して1年が経(た)つ。

出沢剛氏(左)と川辺健太郎氏

 前回のインタビュー「ヤフーとLINEが経営統合、川辺・出沢共同代表に聞く――ZホールディングスにあってGAFAにない優位性とは?」に引き続き、ZHDの共同CEO(最高経営責任者)の川辺健太郎氏と、LINEの出沢剛氏にインタビューした。

 前編【Zホールディングス川辺、出沢CEOが語る展望 ヤフーとLINEの相互理解を深めて世界の“第3極”に】では、経営統合のシナジーやメディア事業好調の理由を聞いた。

 現在、3次元の仮想空間である「メタバース」が、世界的なトレンドになっている。中編では、同社がいかなるビジネス展開を考えているのかを聞く。

川辺健太郎(かわべ・けんたろう)1996年に青山学院大学在学中に有限会社電脳隊を設立。2000年にヤフー入社、07年「Yahoo!ニュース」などの責任者、12年副社長COO、18年社長CEO、21年から経営統合したZホールディングスの共同CEO。3月末にヤフー社長を退任し、兼務しているZHD社長に専念する。東京都出身。47歳
出沢剛(いでざわ・たけし)1996年に朝日生命保険に入社、2002年にオン・ザ・エッジ入社、07年ライブドア社長、14年にLINE取締役、15年に社長CEO。21年の経営統合でZHDの共同CEO。長野県出身。48歳

LINEはNFTサービスを開始予定

――最近、メタバースが話題になり、新たなビジネスになる期待も高まっています。現時点でメタバースについて、どんな見通しを持っていますか。

川辺: コロナ禍で巣ごもりなどが増えて、ネット上で何かをする時間が増えたと思います。今後コロナ禍が終息した後もネット上で費やす時間は増えていき、その中で主要なものとしてメタバースのようなものが出てくると思います。

 かなりの日常がメタバースの中に形成されてくるので、それを支える技術としてブロックチェーンが導入され、国というよりも個が主体となる世界観が形成されていくのではないでしょうか。

 このため技術を通じてコンシューマーにサービスをする会社にとっては、大きなチャンスになると考えています。積極的にいろいろなサービスを提供したいと思います。目下のところはLINEの方がスピーディに展開しようとしています。

「メタバース」が、世界的なトレンドになっている(写真提供:ゲッティイメージズ)

出沢: メタバースと直接的にリンクするわけではないですが、Web3やブロックチェーンの開発は4、5年前からLINEとしては着手していて、ソリューションを提供してきました。

 その基礎的な技術として、この春に日本とグローバルの両方で「NFT」のサービスを開始することにしています。その中で面白いところで言うと、日本向けに「ヤフオク!」と連携した形でもNFTのマーケットをやっていこうと準備しています。

 グループの目線でみると、ZHDが持っている多くのコンテンツは「NFT」と相性が良いので、グループを挙げて取り組んでいきたいと思います。

 LINEの株主にあたるNAVERのグループ会社「NAVER Z(ネイバーゼット)」は、アジア有数のメタバースプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」を提供しています。ソフトバンクグループ全体で新しい市場を作る意味では面白い挑戦ができると思い、スピーディに取り組んでいる認識です。

アジア有数のメタバースプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」(以下リリースより)
「ZEPETO WORLD 桜 1-12」
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