大企業に向けたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が2020年6月に施行されたが、いまだハラスメント関連の相談件数は増加傾向にある。厚生労働省の発表によれば、総合労働相談コーナーに寄せられた相談は年間130万件に上るという。
「Job総研」を運営するライボ(東京都渋谷区)は、605人の社会人男女を対象に「2022年 ハラスメント実態調査」を実施。過去1年間に何かしらのハラスメント被害を経験した人は31.9%。ハラスメントの頻度は「週に数日」(34.5%)と「ほぼ毎日」(20.8%)で過半数を占めた。
ハラスメントの加害者は、「直属の上司」(68.2%)が最多となり、以下「先輩」(30.3%)、「同じ地位・役職者」(20.1%)と続く。ハラスメントの被害に遭っている人の26.6%が転職を考えており、ハラスメントが原因で転職した人も23.1%いることが分かった。
ハラスメントの内容は「パワーハラスメント(パワハラ)」(64.0%)が最多だが、21年との比較では15.7ポイント減少している。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大を背景にテレワークが増えたことで「リモートハラスメント(リモハラ)」「コロナハラスメント(コロハラ)」がそれぞれ前年比で20ポイント以上増加する結果となった。
コロナ禍がハラスメントに影響しているかについては、55.4%が「影響している」と回答。コロナ禍の影響で増加したハラスメントは「コロハラ」(37.5%)が最多。次いで「リモハラ」(35.9%)となっている。
勤務先でのハラスメント防止対策については、「十分な対策がされている」が24.2%、「十分ではないが対策がされている」が44.0%で、全体の68.2%では何かしらの対策がなされているようだ。
具体的な対策としては「相談窓口を設けている」(51.4%)が最多。以下「ガイドラインの周知」(38.5%)、「研修および教育を実施」(31.1%)と続いた(複数回答)。
以上の回答から、パワハラ防止法施行後もハラスメントはなくなっておらず、勤務先での防止対策も十分に機能していないことがうかがえる。
回答者からは「明らかなハラスメント事案であっても将来のキャリアを守るために泣き寝入りするケースが多いように思います」や「相談窓口は形だけのもので、当事者は相談することすら躊躇(ちゅうちょ)するものです。社内で防止対策を設けていても実質機能していない」といった声も上がっていた。
調査は、従業員数20人以上規模の会社に所属する全国20〜69歳を対象にインターネットで実施した。調査期間は3月16〜22日、有効回答数は605人。
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