東急ハンズCIO・メルカリCIOなどを務め、現在は独立してプロフェッショナルCDO(最高デジタル責任者)の道を進む長谷川秀樹氏が、個性豊かな“改革者”をゲストに酒を酌み交わしながら語り合う対談企画。執筆はITライター・ノンフィクション作家の酒井真弓。
プロフェッショナルCDO(最高デジタル責任者)の長谷川秀樹氏が、改革者と語り合う本対談。今回のゲストは大手ホームセンター、カインズの代表取締役会長 土屋裕雅氏。
カインズと言えば、3月末に東急ハンズの買収を完了し、新たなDIY文化を創るパートナーとして歩み始めたばかりだ。元東急ハンズ CIOの長谷川氏が、その裏側と今後の展開について聞いた。
土屋: きっかけは、カインズが九州エリアに初出店した翌年の、2017年にさかのぼります。カインズと東急ハンズ、九州のホームセンターのグッデイの3社で、「バトル・オブ・ホームセンター」という企画を催したんです。
3社が博多駅前でイチオシ商品を紹介し、一般投票で順位を決めるというもので、グッデイが優勝したのですが、これがかなり盛り上がったんです。
この企画をきっかけに、当時東急ハンズのCIOだった長谷川さんや経営陣も交えて会食をすることになりました。
長谷川: 僕は、PB(プライベード・ブランド)で差別化していかないと小売りはもたないと思っていました。当時からカインズのPBはめちゃくちゃイケていて、PBの取り扱いで提携できたらいいなと思っていたんです。
数年後、まさかカインズが東急ハンズを買収するとは夢にも思いませんでした。お客さんも小売業界も、とにかく衝撃でしたね。
土屋: 東急ハンズとカインズは、主な立地も商品開発もデジタル戦略も違います。双方の強みを生かし、補完し合うという関係において、とても相性が良い。
先の読めない時代、議論しながら前に進んでいく「壁打ち相手」として、ベストパートナーだと確信しています。だからこそ(買収に)踏み切ったのですが、まさかあれほどまで反響があるとは思ってもみませんでした。東急ハンズのファンの皆さんからは、「これからどうなってしまうのか」と心配の声もたくさんいただいています。
僕自身、東急ハンズが大好きです。1970年代、あの物があふれ始めた時代に「手の復権」を掲げて小売業を始めるという発想からしてかなりぶっ飛んでいましたし、しかも、そのスタンスを維持し続けている特異な存在です。
かつてのファン、現在のファン、そして今後のファン、未来の可能性も見据えて、これからの東急ハンズの在り方を議論すべきだと思っています。
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