「高級食パン」ブームは本当に終了したのか? “大量閉店”騒動が隠した本当の姿長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/7 ページ)

» 2022年04月13日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

高級食パンの勢力図は?

 高級食パンはどのような勢力図になっているのか。まずは、各社の公式webサイトから、単純に主なチェーンの店舗数を数えてみた。19年1月6日付の店舗数は、後述する記事(筆者が過去に執筆)を参考にしている。また、「HARE/PAN」「ラ・パン」「本多」「い志かわ」については、「食べログ」などネット上の情報から割り出した。

銀座に志かわ

 岸本ファミリーの最新店舗数は、ふじたん(藤田真嗣)氏が運営するWebサイト『まいぱん』より、「岸本拓也さんがプロデュースした高級食パン専門店の全店舗一覧【2022年4月最新】」をベースにしている。また、開店閉店.comも参考にした。「銀座に志かわ」「ワンハンドレッドベーカリー」は、運営会社に直接聞いた。なお、銀座に志かわの最新店舗数は3月31日現在の数字となっている。

【主要高級食パンチェーンの国内店舗数(左が19年1月6日、右が22年4月10日)】

  • 岸本ファミリー(4→260)
  • 乃が美(111→256)
  • HARE/PAN(3→172)
  • 一本堂(113→128)
  • 銀座に志かわ(1→124)
  • ラ・パン(1→51)
  • 嵜本(5→37)
  • 高匠(8→35)
  • panya芦屋(6→16)
  • 本多(5→15)
  • レブレッソ(3→10)
  • い志かわ(1→10)
  • ワンハンドレッドベーカリー(0→8)
  • 俺のベーカリー(8→5)
  • 点心(4→4)

 こうして見ると、店舗数からいくつかのグループに分けられそうだ。岸本ファミリーと乃が美はトップを争う最大手第一集団。

 一本堂、銀座に志かわ、HARE/PANは、店舗数100を超えた大手第二集団。

一本堂

 ラ・パン、嵜本、高匠は、30〜50店ほどの中堅の第三集団。

ラ・パンは高級クリーミー生食パンが売り

 panya芦屋、本多、レブレッソ、い志かわ、ワンハンドレッドベーカリーは、10〜20前後の小チェーンで第四集団。

 あとは、地元に愛される個人店や3〜5店程度のごく小さなチェーンが多数ある構図だ。

東京・荻窪のい志かわの店舗

 高級食パンがブームだといわれ始めた19年1月6日付で、筆者は「東京と大阪の“抗争”が激化 今年も高級食パン戦争から目が離せない」という記事を書いている。その頃の最大手は、一本堂の113店で、乃が美が111店と肉薄していた。3年で勢力図は一変した。一本堂も乃が美も大阪出身で、東京勢も「セントル ザ・ベーカリー」や俺のベーカリーが出現しており、品質では負けないといった構図だった。

panya芦屋のプレミアム(1.5斤880円)。密度の濃いもっちりした生地でほんのりバターの甘さが特徴

 岸本ファミリーは東京郊外の清瀬と横浜の菊名に考えた人すごいわ、東京の中野に「うん間違いないっ!」、相模原市の橋本に「これ半端ないって」を出店していて、4店があるのみだった。そこから怒涛(どとう)の勢いで出店を重ねていくのだ。

 銀座に志かわはまだ銀座に1店あるだけだった。水にこだわる、独特の和風の風味でこのチェーンも伸びた。

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