変革の財務経理
コラム
» 2022年04月15日 14時30分 公開

東証再編、スルーされがちな「もう1つの課題」とは ベンチャーの“転換点”となるかベンチャーが上場後に成長できない理由(1/2 ページ)

4月4日に実施された東証再編。「1部上場企業の約87%がプライム市場に流れたが、本当に再編の意味があったのか」といった点が議論の的になることが多い一方で、注目度は低いが上場ベンチャーの今後に関わる「もう一つの課題」がある。

[ITmedia]

 4月4日に実施された東証再編。「東証1部」などのこれまでの区分が廃止され、「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編された。日本取引所グループは、これまでの市場区分には2つの課題点があったと説明している。

従来の市場区分の課題

  • (1)各市場区分のコンセプトが曖昧であり、多くの投資者にとっての利便性が低い
  • (2)上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが十分にできていない

出典:市場区分見直しの概要


 このうち(1)は「1部上場企業の約87%がプライム市場に流れたが、本当に再編の意味があったのか」など、議論の的になることが多い。一方で(2)に関しては、注目度は比較的低い。

photo 4月4日、同社発表会での嶺井氏

 しかし上場後のスタートアップを支援するグロース・キャピタル(東京都港区)の嶺井政人CEOは、(2)のための制度変更が「上場ベンチャーの成長を促す大きな転換点となる」という。

東証が「グロース市場の成長を促す」ため実施した、3つの制度変更

 今回の再編に伴う制度変更のうち、嶺井氏は注目すべき点として以下の3点を挙げる。

photo

(1)中期経営計画の年1回以上の開示義務化

 従来はマザーズへの新規上場時のみ中期経営計画の開示義務があり、その後は任意だった。同社によれば、21年3月時点で、マザーズ上場企業の開示率は27%にとどまっていた。

(2)上場維持基準の厳格化

 従来は新規上場基準よりも上場廃止基準が低く、「上場までたどり着けばひと安心」と上場廃止リスクを重要視しない企業も存在したが、原則として両者の基準が共通化する。

(3)市場の鞍替えハードルの厳格化

 マザーズから東証1部へのいわゆる「鞍替え」の基準は、時価総額は40億円以上、過去2期累計の経常利益は5億円以上だった。この基準が厳格化し、グロース市場からプライム市場への鞍替え基準は流通株式の時価総額が100億円以上、過去2期累計の経常利益は25億円以上になった。

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