日本のベンチャーは、上場後に成長ができていない──こうした結果が、同社と一橋大学 鈴木健嗣教授の共同研究レポート(※1)で判明している。
同調査によれば、国内の上場ベンチャーのうちの1/4以上は、上場後3年間のCAGRで売り上げ成長が見られない。営業利益は上場期から3年間で中央値-0.6%とマイナス成長。高成長の企業も含めた平均値は2.3%の成長にとどまる。時価総額においても、約半数の企業がほとんど成長できていない。
では、海外ではどうか。アメリカの新興市場ナスダックでは、上場から1期後の時価総額の成長率の中央値は7.1%、3期後で39.5%。3期後の中央値は13.2%、平均値は116.4%だ。
13〜19年に新興市場に新規上場した企業は、米国で450社、日本で447社。このようにIPO数にはほとんど差がないものの、うち時価総額が5000億円を超える企業は米国は56社である一方、日本は2社と大きく差が開く。時価総額1兆円以上の企業に関しては、米国は21社、日本は0社だ。
こうした違いの背景として、嶺井氏は「市場規模の違いは前提だが、制度と投資家の成熟度が異なる」と話す。国内では赤字上場は容易ではなく、上場のためにいったん黒字化させる企業が多い。一方で米国では、投資家の理解を得て成長投資をしながら上場が可能だ。また、上場への準備期間も米国では半年ほどなのに対し、国内では約2年が目安であり、その準備期間の長さゆえに上場後の成長が難しくなる。
また上場ベンチャーの成長における課題は、「適切な株価でスムーズに資金調達できない」「大胆な打ち手が実施できない」という2点にあると嶺井氏は指摘する。同社は4月4日より、このうち前者の課題に対応するために事業内容を踏まえて戦略的にIR支援する「IR支援・調達パッケージ」、後者には外部パートナーが月次の経営アドバイスを行う「経営支援・調達パッケージ」を展開している。
上場ベンチャーの成長には「事業や経営者のチャレンジを、中長期的に応援してくれる投資家」を増やすことが不可欠だ、と嶺井氏は話す。「らくらく連絡網」などを運営するイオレ(東京都港区)は、この「IR支援・調達パッケージ」を採用。同社サービスを利用した経験がある30〜40代を個人投資家のターゲットとして定義し、施策を講じていくという。
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