「アコム」に迫る勢いのLINEポケットマネー “10代とやり取り多い40代”は延滞リスクが低い?金融ディスラプション(2/3 ページ)

» 2022年04月18日 11時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

LINE内コミュニケーション傾向で与信

 もう1つの特徴が、どのくらいの額をどんな利率で貸し出せるかを判断する、いわゆる与信判断だ。伝統的な与信は、年収や雇用形態、会社名や勤続年数といった属性データと、他社借入情報や延滞情報といった信用情報の組み合わせで判断していた。

 そこに昨今増加してきたのがビッグデータを用いた与信判断だ。銀行口座の入出金履歴を元に、機械学習などを用いて与信判断を行う仕組みはトランザクションレンディングとも呼ばれ、EC事業者向け貸付などで広く活用されている。さらにフリマアプリ大手のメルカリ内での取引情報を使い、与信判断を行っているのがメルペイだ(記事参照)。

 LINEポケットマネーでは、LINE内でのコミュニケーション傾向を用いて与信判断を行う「LINEスコア」を用いる。「内部検証を行い、慎重にモデルの改善をしていた。21年11月からはテレビCMも行うなど完成度が高まった」と山岡氏は話す。その手法はどういったものなのか。

さまざまなデータを用いた与信判断が増加している

 実は、LINE利用におけるコミュニケーションの傾向は、延滞や貸し倒れの結果と明確な相関関係がある。例えば、「1カ月前より友だちのフォロー数が減少しているユーザーは、延滞や貸倒のリスクが高い」とか「40代以上のユーザーが10代からのメッセージを受信した割合が高いほど、リスクが低い」などだ。

 これらはデータを元に機械学習によって導かれたものなので、どうしてそうなるのかは推測するしかない。それでも、短期間で友だちの多くをブロックしているユーザーは、既存の人間関係から離れなくてはいけないような出来事があったのではないか、とか、10代からのメッセージをたくさん受け取る40代は、子供の親で、家族間でLINEを活用しているのではないか、などが想像できる。

 さらに、「グループへのメッセージ送信が多いほどリスクが低い」「LINEギフトでの注文金額が増えるほどリスクが低い」など、意外なところで延滞や貸倒に相関する結果が現れている。

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