財務省と東京都が東京地下鉄(東京メトロ)の保有株式売却に向けた動きを進めている。財務省はこのほど、株式売却に伴う証券会社の主幹事の審査に入ると発表した。国と都は2027年度までに保有株式をそれぞれ2分の1売却し、東京メトロの上場と民営化を進める方針だ。
主幹事選定に残ったのは、大和証券、野村證券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券株式会社の国内5社と、ゴールドマン・サックス証券、BofA証券、JPモルガン証券、UBS証券の外資系4社を加えた計9社。今後、書類審査と口頭審査を経て、主幹事社が決まる。
国と都が進める株式売却は、国土交通省の「交通政策審議会」が21年7月に出した答申に基づいている。東京メトロの現在の株主は国と都だ。20年度末時点でそれぞれ53.4%と46.6%の株式を保有しているが、同審議会の答申は「国及び東京都が当面株式の2分の1を保有することが適切」とした上で「東京都及び財務省が同時・同率にてその保有する株式の2分の1を売却する」などとしている。
株式売却は東京メトロの民営化に向けた動きの一環でもある。国有財産の売却では日本国有鉄道(国鉄、現JR)や日本専売公社(現日本たばこ産業、JT)、日本電信電話公社(現日本電信電話、NTT)、日本郵政公社(現日本郵政)などに続く大型案件となる。
東京メトロの決算資料によると、21年3月期の同社の純資産額は6444億1200万円。国と都によって単純計算で約3200億円分が売却される見通し。財務省は20年度末時点で3242億円分の株式を保有しており、このうち1600〜1700億円程度を売却するとみられる。
これに対し、都は保有額を公表していないものの、同社株を21年度末時点で2億7065万6815株保有しており、国と同様、2分の1の株式を売却することになる。
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