「ららぽーと福岡」オープンの衝撃 ショッピングセンター飽和の時代、勝算は?勝ち組の研究(2/5 ページ)

» 2022年04月26日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

ららぽーと福岡は「体験」を売る

 このような中でららぽーと福岡がオープンしました。18年に実施された青果市場跡地活用の入札で、地元企業の西鉄と九州電力に三井不動産が加わった共同事業者が選ばれたものです。SC市場は必ずしも好調ではないことは前提。それでも勝ち目があるから出店するのです。

 ここで、小売業出店成功の鉄則を見てみましょう。

(1):市場性が高いかどうか

(2):優位性が明確かどうか

 この2点がしっかりしていれば、戦略的優位性が確保できて、出店の成功確率は高まります。では、福岡の市場性はどうなのでしょうか。

福岡市は肥沃で成長性の高い商圏

 ららぽーと福岡が出店を決めた最大の理由は、その商圏ポテンシャルの高さにあります。

 政令指定都市の人口増加数ランキング(20年/15年)と、ららぽーとの運営母体である三井不動産系列の大型商業施設における開設状況をまとめてみました。

 福岡市の人口増加率は4.9%。政令指定都市の中でトップの増加率・増加数を誇ります。商業施設出店成功の要諦は、「肥沃な土壌に店を構えること」です。

 今回の出店立地はどうでしょうか。自動車10分圏内の人口は約30万人、30分圏内は180万人で、SCが成り立つのには十分です。しかも周辺5キロ圏内に5万平米以上の郊外型SCがありません。競合環境に恵まれている点もポイントです。

 また、福岡は海外からのインバウンド需要も見込める商圏です。18年の外国人入国者数は309万人。コロナ前までは7年連続で増加していました。インバウンド復活には少し時間はかかるでしょうが、いずれ海外観光客の利用も期待できます。

 このように、ららぽーと福岡は最近のSCの中では立地に恵まれたSCといえます。

 三井不動産は政令指定都市で人口増加率の高い地域のほとんどで商業施設を運営しています。しかも、それぞれが地域の中で一番か二番のSCとなっていますから、やはり立地選定が非常に上手なデベロッパーといえます。

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